【TCP/IPスタックとは】 (Ver3.60に更新されたのに伴い全面変更)
TCP/IPスタックとは、LANを使った通信を行うアプリケーションを作るとき
必要とされる、TCP/IP通信のプロトコルに関するプログラムをまとめて
1つのプログラム群としたものです。
マイクロチップ社のTCP/IPスタックは、もちろんPIC用に作られたもので
PIC18シリーズとPIC24シリーズ、さらにイーサネット内蔵PIC18用に使われる
ことが前提になっています。
世界標準のTCP/IP通信に必要とされる通信プロトコルのほぼ全てに
対応しており、各プロトコル毎にモジュール化されたプログラム群から構成
されていて、必要となるモジュールだけ組み合わせて再構成できるように
なっています。
このスタックのデモプログラムは、下記の組み合わせで動作するデモ用
のプログラムとなっています。
(1) HPC_Explorer(PIC18F8722)+PICtail(ENC28J60)
(2) Explorer16(PIC24F/dsPIC33F)+PICtail plus(ENC28J60)
(3) PICDEM.Net2(PIC18F97J60+ENC28J60)
(4) dsPICDEM1.1+PICtal(ENC28J60)
(5) 自作ボード(追加変更が必要)
という組み合わせで動作するようになっています。つまりイーサネットコントローラ
としてはすべてENC28J60だけとなっています。
このTCP/IPスタックは、C18 C言語かC30 C言語またはHiTech社C言語で記述
されていますので、マイクロチップ社のMPLAB-C18かMPLAB-C30、または
Hi-Teck社のPICC 18コンパイラが必要です。
MPLAB-C18/C30についてはフリー版が提供されていますので、これで十分使えます。
【入手先と展開方法】
マイクロチップ社のTCP/IPスタックのデモプログラムは、フリーソフトとして、
C言語のソースファイルで提供されています。
ウェブサーバとして動作するデモプログラムとして提供されていますので、
直ぐ動作するプログラムとなっています。
入手先は下記のマイクロチップ社のサイトから直接ダウンロードできます。
★ マイクロチップ社 TCP/IP スタックデモダウンロードサイト
(tcpip stack v3.6.zip)
このドキュメントについては上記と同じページにある下記説明書によります。
★ Microchip TCP/IP Stack Application Note
無事ダウンロードが完了したら、ZIPで圧縮されていますので、まずは解凍
します。解凍すると、「MCHPTCPStack 3.60.exe」という実行ファイルが
生成されますので、これをダブルクリックして実行すれば、ソースリストなど
すべてのファイルを展開します。
途中でインストールするフォルダを聞かれますので、適当なフォルダを指定
してNextで進みます。
インストールが完了すると、下記のような構成のフォルダが生成されます。
MCHPTCPStack 3.60
PICtail board files :PICTailボードのドキュメント
Include :ヘッダファイルのフォルダ
Linker :リンカ用のフォルダ
Source :ソースファイルのフォルダ
MCHPDetect :C++のデモプログラム
WebPages :監視制御用のWeb画面データ
CコンパイラのMPLAB-C18/C30のフリー版は下記からダウンロードできます。
最新のバージョンですが、
★ MPLAB-C18フリー版のダウンロードサイト
★ MPLAB-C30フリー版のダウンロードサイト
【デモプログラムの概要】
このデモプログラムはマイクロチップの下記ボードの組み合わせで動作するように
作成されています。いずれも安価なデモボードとなっていますので、この構成で
ソフトウェアの動作確認をするのも良いでしょう。
PICDEM HPC Explorer Board
PICtail Ethernet Board
この組み合わせで動作確認をしている状態が下記写真となります。
水平となっているのがHPC Explorer
垂直となっているのがPICtail Ethernet
【スタックのモジュール構成】
マイクロチップ社のTCP/IPスタックのモジュール構成は下図のようになっています。
物理層のEthernetに所にENC28J60用のドライバが含まれています。
TCP/IPのスタックだけでなく、HTTPやFTP、DHCPなどのアプリケーションも
含まれていますので、基本的なWebサーバレベルは直ぐにでも動かせる
構成となっています。