【概要】
8ピンのPICマイコンに、I2Cで接続できる液晶表示器と18ビットデルタシグマ
A/Dコンバータを接続して高精度な電圧電流計を作ってみました。
電圧は10μV単位で、電流も10μA単位で無調整で計測できます。
使った液晶表示器は下記です。
「小型I2C低電圧キャラクタ液晶モジュール」
完成した外観は下記のようなアクリルケースに実装しています。
使った18ビットデルタシグマA/Dコンバータはマイクロチップ社のMCP3421です。
6ピンのSOT23という米粒ほどの小型のパッケージとなっていて、下記のような
特徴を持っています。
・18ビットデルタシグマA/Dコンバータ
・差動入力
・変換ごとに内部オフセットとゲインを自動補正
・電圧リファレンス内蔵 2.048V±0.05%
・可変ゲインアンプ内蔵 ゲイン=1,2,4,8
・発振器内蔵
・変換:1回ごとまたは連続
・低消費電流:145μA(Vdd=3V動作時)
・単電源:2.7V〜5.5V
・動作温度範囲:-40℃〜125℃
内部の構成は下図のようになっていて、ゲイン可変のアンプと2.048V±0.05%という
高精度のリファレンス電圧を内蔵しているのが特徴です。
これで外付け部品は特に必要がなくなりますから、ピン数が6ピンで足りることになります。
ただし、I2Cのデバイスアドレスは内部で固定になっていて、ICを注文するときにアドレスを
指定する必要があります。指定しないと000というアドレスになります。
実装は基板のはんだ面側になります。
【構成と回路図】
構成は、液晶表示器もA/DコンバータもI2C接続ですから、2ピンで済んでしまいます。
クロックも内蔵クロックで十分ですから、4ピン余ります。
そこで、電池電圧も計測してバッテリ情報を表示することにします。ちょうど使う
液晶表示器がこのバッテリ容量表示用のアイコンを持っていますのでこれを利用します。
A/Dコンバータに可変ゲインアンプが内蔵されていますから、これをフルに使って
レンジ切り替えができるようにします。このレンジ切り替えも自動でできますから
ピンとしては必要ありません。
電圧以外に電流計測もすることにしましたので、この切り替えだけにスイッチが必要です。
そこで、スイッチで入力端子を切り替えると同時に、そのスイッチ情報をPICに入力して
表示を自動的に切り替えることにします。
これで、ピンを有効活用できます。
【プログラム】
プログラムで難しいのはI2Cの部分です。I2Cモジュールは内蔵していませんから
すべてソフトウェアでI2Cマスタを作成することになります。
マスタ側ですので、自分のペースでクロックを出力すればよいので、それほど
難しくはありませんが、クロックとデータの順序をI2Cの手順どおりにする必要が
あります。
【ダウンロード】
本電圧電流計関連のファイルのダウンロードができます。
プリント基板のパターン図は原寸大のPDFファイルになっていますので
そのままOHPフィルムなどにインクジェットプリンタで印刷してお使いください。
2度重ねて印刷するときれいに感光できます。
★★★ 基板関連ファイル(回路図、組み立て図、パターン図)
★★★ プログラムファイル(プロジェクト1式)