【位置づけ】
新たに開発されたPIC32MXファミリの位置づけは、マイクロチップ社の資料によれば
下図のようになっています。
図にあるように、市場の動向としてPICを使ったアプリケーションがユーザーインター
フェースの高機能化などにより大規模で複雑になり、これらを効率よく開発するため
リアルタイムOS(RTOS)を使いたいという市場のニーズが高まったことに対応させる
ためのものとなっています。
CPUコアにMIPS社の32ビットコアを導入することでデバイス開発期間を大幅に短縮
したようです。
大規模なプログラムを実行させても十分な能力が出せるようにメモリサイズが大きくなり、
命令実行速度もこれまでのファミリより圧倒的に高速化されています。
内蔵モジュールもOn-The-Go対応のUSBが既に実装され、将来的には10/100BASE
対応のイーサネットも実装される計画のようです。
【特徴】
PIC32MXファミリの特徴は下記となっています。
@ 全体クロックが最高80MHzと他の16ビットPICファミリとほぼ同じだが、
1サイクルが1クロックとなっているため、実質80MIPSの最高性能が出せる
しかし、もともとフラッシュメモリのアクセス速度は30MHzまでしか動作しないため
初めてキャッシュ方式を導入しフラッシュメモリのアクセス速度制限をカバーしている
A RAM容量は増えているがそれほど大容量ではない
最高32kバイトなのでそれほど大きくはない
B 80MIPSという性能を出しながら消費電力が100mW程度とわずかであり
ほとんど発熱しない
dsPIC33ファミリとほぼ同等の消費電力である
これは内部ロジックが1.8V動作となっているためで、電流は50mA程度と
なるが消費電力としては100mW程度になる
C 32ビット幅のデータの乗除算をハードウェアで実行するので演算速度が格段に速い
D 16ビットファミリと同様なベクタ方式により割り込み処理が高速
しかもレジスタ退避はシャドーレジスタにより高速に動作
E 内蔵周辺モジュールは16ビットファミリと共通
ほぼすべての内蔵モジュールが16ビットファミリと共通になっており、動かし方
も同じとなっている
これらの特徴からすると、このPICはあくまでもコントローラとしての制御用マイコンであり、
本格的に画像や動画などを扱うアプリケーション用ではないといえます。
つまり「超高速マイクロコントローラ」ともいうべきものということになります。