マイクロコンピュータは誰が創ったの?

【マイコンの発明者は誰か?】

マイクロコンピュータの発明者は、一般には下記2名の共同発明と
いうことになっています。
  ・日本のビジコン社 : 嶋 正利 氏
  ・米国のインテル社 : テッド・ホフ氏


この二人が発明したマイコンが「4004」です。

【開発の経緯】

もともとは、日本でIC化による電卓競争が激化し、応用範囲が事務用から
科学計算用まで非常に広くなってきた。しかし、その頃の電卓は専用ICで
開発していたため用途毎に異なるICを開発せざるを得ない状況であった。

そんな中で、ビジコン社は「色々な用途の電卓に共通に使えるICの開発」
を考えた。それを実現するため、嶋正利らの技術者が米国インテル社に派遣
されて開発を開始した。(1969年6月)

ビジコンのそれまでの電卓は、ROMを使ってそこにマクロ命令を格納して
用途の異なる電卓に対応していて、当時としては画期的であった。
それを、インテルのテッド・ホフがいわゆる「ソフトウェア」という概念に置換し
ハードウェアを激減させただけでなく、電卓以外にも使える「汎用性のあるIC」
として実現した。
    4001:ROM  4002:RAM   4003:入出力
    4004:CPU
という4個のICで全体を構成し、のちにこれらをまとめて
「マイクロコンピュータシステム」として発表した。
        (1971年4月のこと)
    
その後インテル社が「MCS4」という名前の4ビットマイクロプロセッサとして
販売をした。
私自身も、これを入手した。全体が、A4サイズくらいの厚さが3cmほどの
ダンボール箱に梱包されていた記憶がある。
中には、CPUの外に、メモリの4001が10個以上入っていた。


マイコンの歴史

【その後】

日本のビジコン社の依頼でインテル社が開発したチップは、電卓としては
使われませんでしたが、その後、インテル社がマイクロコンピュータ4004と
して発売し画期的なものとして評判となりました。
その翌年1972年には、「8008」という8ビットマイクロコンピュータが、やはり
インテル社で開発されましたが、余り性能が良くなかったため直ぐ改良され、
1973年に新しい8ビットマイクロプロセッサとして「8080」が完成し、これが
爆発的に使われるようになって、マイコン時代が始まりました。
そして次々に改良が行われると同時に、周辺に付加される便利なICも次々
と追加されていきました。


私自身も、この8080やその改良版の8085Aから本格的にマイコンを使うようになり、数多くの装置を作りました。


さらには、このマイコンを使ったキットとして「TK-80」「TK-85」が次々と発売されました。
 キーボードと表示器がついてプログラミングが出来るいわゆるパソコンの原形が形成されて
行きました。
これが日本におけるパソコンの
最初の姿といっても良いでしょう。

この8ビットのマイコンが市民権を得て市場が形成され始めると直ぐ、
1975年ザイログ社から、8080Aと完全互換の有名な「Z80」が発売
されました。
これは今でもその命令と
同じ命令が使われている
ワンチップマイコンが
開発製造されています。
写真はNEC製Z80互換品です。

このマイコンがNECなど各社で
製造されるようになり、このマイコン
をベースにして数々のパーソナル
コンピュータが開発されて行きました。
左の写真もNECの「PC8001mkU
でZ80を使った8ビットPCとしては
高性能なものでした。


8ビットマイコンが市場で多く使われて来て、いよいよ事務処理にパソコン
を使ってみようといういう動きが出始め、多くのソフトウェアが開発されて
行きました。しかし、事務処理には8ビットのマイコンでは荷が重く、速さ
が課題となって来ました。

1978年、これを解決すべく16ビットのマイコン「8086」をインテル社が
発売を開始し、これを使って、IBM社が初の、しかも今日まで影響を与え
ているパソコンの原形「The PC」を発売し、これのソフトウェアとして始めて
MS-DOS」が使われ、ソフトウェア時代が始まりました。

その後は8086のメモリ拡張版の「80286」が発売されましたが、次の
32ビットの時代を開いた「80386」にとって代わられることになります。
(1985年)

この頃からソフトウェアも「Windows」が出現することになります。
そしてそのプログラムを動かすには性能不足が表面化し、「i486
への進歩となります。(1989年)




ここからのマイコンの高速化、高性能化のスピードは驚異的で、
  
 i486DX → i486DX2
  → Pentium → Pentium Pro → PentiumU → PentiumV

となって今に至っています。

インテル社マイコンの歴史

名称

発売年

最大速度

バス幅
(ビット)

集積規模
トランジスタ数

4004

1971

108KHz

2,300

8008

1972

108KHz

3,300

8080

1974

2MHz

6,000

8086

1978

10MHz

16

29,000

8088

1979

8MHz

29,000

80286

1982

12MHz

16

134,000

i386

1985

33MHz

32

275,000

i486

1989

50MHz

32

1,200,000

Pentium

1993

166MHz

64

3,100,000

Pentium Pro

1995

200MHz

64

5,500,000

PentiumU

1997

300MHz

64

7,500,000

PentiumV

1999

500MHz

64


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