ソフトウェアライブラリ


 dsPICのアプリケーションを開発するとき便利に使えるライブラリが、いくつか
マイクロチップ社より提供されています。
フリーのものと有償のものとありますが、より効率的なソフト開発を行うために
有効なツールです。
いずれも情報やフリーのライブラリは下記から取得できます。

http://www.microchip.com/stellent/idcplg?IdcService=SS_GET_PAGE&nodeId=2035

【Math Library】(フリー)

 アセンブラ、C言語で使える高精度演算ライブラリです。浮動小数点数演算と
倍精度数値演算機能を提供します。
含まれる演算関数は下記となります。
  ・浮動小数点数演算  加減乗除
  ・三角関数 sin  cos  tan    asin  acos  atan
  ・対数関数 ln   log10  sqrt  power
  ・その他   ceil  floor  mod  frexp

【DSP Algorithm Library】(フリー)

DSP機能を提供するライブラリで、アセンブラとC言語いずれからも使えます。
ビルディングブロック形式になっているので、必要なものを組み合わせて
使うことができます。
また、dsPIC Filter Design Toolで設計したフィルタファイルと連携することが
できます。

49個のDSP機能が含まれていて、主なものは下記のようなものとなっています。
 ・FIRフィルタ(直接型、転置型)
 ・LMSフィルタ
 ・IIRフィルタ(縦続型、転置型)
 ・相関、たたみ込み
 ・FFTと窓関数(Bartlett、Blackman、Hamming、Kaiserなど)
 ・行列演算とベクトル演算

【Peripheral Driver Library】(フリー)

 dsPICに内蔵されている周辺モジュールを使うための制御関数を集めた
ライブラリ集です。300個近いモジュールが含まれていてアセンブラでもC言語
でも使えます。

対応モジュールは下記となっていますが、順次新たな機能が追加されて
バージョンアップされています。
 ・CANモジュール        ・10ビット、12ビットA/D変換モジュール
 ・タイマモジュール       ・リセット制御
 ・I/Oポートモジュール     ・入力キャプチャモジュール
 ・出力コンペアモジュール   ・UARTモジュール
 ・SPI/I2Cモジュール      ・QEI(直交エンコーダ)モジュール
 ・PWMモジュール 

【TCP/IPプロトコルスタック】(有償)

高品質を誇っている実証済みのTCP/IPプロトコルスタックで、インターネット
に接続するためのツールとなります。
元となったソフトはMicroNet社のCMXというスタックとなっています。

サポートされるプロトコルは下記となっています。
 ・ネットワークアクセスレイヤ
   PPP  SLIP  ARP  DHCPなど
 ・トランスポートレイヤ
   ICMP  IP  TCP  UDP
 ・アプリケーションレイヤ
   FTP  TFTP  SMTP

【Soft Modem Library(ソフトモデム)】フリー/有償)

ソフトウェアで実現した組み込み型モデムで、V.32とV.22 bis対応となっています。
元となったソフトはVocal社の実証済みのモデムとなっています。

対応規格は下記となっています。
 ・V.32  (9600bps、non-trellisエンコーディング)
 ・V.22/V.22 bis (1200/2400bps)
 ・V.42 (LAPM)
 ・V.32 bis (9600/14400bps)

【Encryption Library(暗号化)】(有償)

対称、非対称キーをサポートする暗号化ライブラリで、アセンブラでもC言語でも
使えます。
通信やデータ保存に際し、暗号化することで秘匿性の高いシステムを作ること
ができます。

【Noise Supression Library(ノイズ低減)】(有償)

マイクを使った音に関連するアプリケーションで、共鳴を使って効果的に
ノイズを低減することができるライブラリです。
アセンブラでもC言語でも使え、性能は下記のようになっています。

 ・オーディオ帯域  :0〜4kHz(8kHzサンプリング時)
 ・ノイズ低減率    :10〜20dB

【Acoustic Echo Cancellation Library(エコーキャンセル)】(有償)

マイクとスピーカを使ったシステムで、エコーの回り込みで発振するのを
抑制する機能を持つライブラリです。
小さな部屋の拡声器や電話でのエコー発振を無くせます。
アセンブラでもC言語でも使え、性能は下記のようになっています。

 ・オーディオ帯域  :0〜4kHz(8kHzサンプリング時)
 ・エコーキャンセル時間    :16、32、64msec
 ・エコー抑制率   :50dB以上 Typ40dB以上

【Speech Recognition Library(音声認識)】(有償)

100語までの英単語の不特定話者の音声認識ができるライブラリです。
特に話者を学習させる必要はありません。
Windowsベースのカスタマイズツールが付属しており、パソコンから
単語を登録変更できます。
Hidden-Markov Modelで音声認識を行っていて、認識速度は0.5秒以内
です。

【RTOS(リアルタイムOS)】(有償/フリー

複雑なリアルタイムシステムを実現するためのリアルタイムOSが
3段階で用意されています。いずれもCMX社のRTOSをベースにしていて
アセンブラベースで開発されています。

1.CMX-RTX
  CMX社のフル機能を搭載した完全プリエンプティブなマルチタスクを
  実現できます。

2.CMX-Tiny+
  やはりCMX社のRTOSの規模縮小版です。小型版ですが完全な
  プリエンプティブなマルチタスクを構成できます。

3.CMX-Scheduler
  無償版のRTOSで規模をスケジューラレベルまで縮小したものです。
  完全なプリエンプティブなマルチタスクを構成できます。





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