ラジコン受信機制御部3

PIC16F84を応用したラジコン受信機で、PICにモータ速度制御
専用ICを2個追加して2モータの可変速制御をしています。


1.概要

 PIC16F84を応用したラジコン受信機制御部で、モータ速度制御専用IC
であるTA7289Pを2個接続して、2チャンネルの可変速モータ制御を
しています。
 受信機高周波部には、「PICラジコン受信機2」のものと同じ物を使います。


2.機能

 受信機高周波部から出力された20msec周期のパルス列信号を入力
にして、そのパルス幅に比例してモータの速度を制御するとともに正/逆
回転も制御する。
  チャンネル数   : 2チャンネル
  入力         : 最小1Vの負論理パルス列
  速度分解能    : 正転/逆転 各々16ステップ
  モータ制御最大電流: 0.7A 但し連続では約0.3A(6V)程度(2W)
  電源       : 5.2〜9VDC NiCdx6個
  入力信号形式
    ・全体が約20msの固定周期で繰り返される。
    ・各周期の中で各チャンネルの先頭を示すパルスが並ぶ。
      (このパルスの信号幅は約0.5msで固定)
    ・各チャンネルのパルス信号の間隔が各チャンネル
     の制御信号に相当し制御内容により可変となる。可変幅は1.0msec。
     従ってパルス間隔は 0.5〜1.5msec となります。


3.モータ速度制御用IC「TA7289P」の仕様

 このICは本来はステッピングモータの制御用なのですが、モータコイルに
流れる電流制御の機能があり、今回はそれを普通の直流モータの電流制御
に流用しています。
 電流制御には、パルス幅制御方式を使っており、かつD/A変換回路による
フィードバック回路が内蔵されているため、PICからは、4ビットの電流値を
指定するデータを送れば良いだけに出来ます。
従って、PIC側ではダイナミックに直接モータを制御することは不要とすること
が出来ます。
 回路構成は下図のようになっており、INAとINBで正転、逆転、停止を指定、
D/A変換器にデータを指定すると、その値に従った電流がH-Bridgeに流れる
ようComparatorでGATEをフィードバック制御します。GATEでは内部発振回路
を持ち、Comparaotorの信号に基づいて出力のパルス幅を制御して、H-Bridge
に流れる平均電流を制御するように動作します。内部フィードバック回路により
定電流制御をしますので、PIC側は設定値を出力するだけです。


4.構成

 コントローラの回路の構成は下図のようになっており、PIC16F84と2個の
モータ速度制御専用ICだけで出来ています。



5.回路図

 全体の回路は下図となります。特別な回路は無いですが、可変抵抗器は、
モータへ流す最大電流を調整するためのものです。
 モータからのノイズ混入を防ぐことが大切で、そのための対策が各種必要
となります。特にモータに直接コンデンサを直付けするのが最も効果的です。
下図は拡大表示出来ます。



また、下記に原回路図とパターン図を紹介します。
原回路図は、CADの「HiWIREU」 で描いて
いるのでダウンロードしてご覧下さい。

  ★受信機制御部3回路図(ダウンロードしてご覧下さい)
  ★受信機制御部3パターン図(ダウンロードしてご覧下さい)


6.プログラム概要

 プログラムの流れとしては1本の流れだけで出来ています。この流れの
実行速度が、即分解能となりますので、出来る限り高速で実行することが
要求されます。
今回の実行速度は概ね 25uSECが1周期となっています。

(本プログラムは結局実用にしなかったためダウンロードファイルは
 ありません)


(1)まず全体の流れの概略は下記のようになっています。

        START
         ↓
     PORTAの入力ありか?        入力を30uSEC周期で刻みながら
     無い時は全モータOFF         カウントをして行く。
        ↓
     パルス幅をカウント
         ↓
     1チャンネル分カウント終了したら
     今回の幅としてメモリに格納
         ↓
     各チャンネルの幅に合わせて     モータの正転/逆転も制御する
     モータ速度を出力する
         ↓
     次のチャネルにセット
         ↓
     STARTへ戻る

(2) 次にタイムチャートは下図のようになっています。
 別項目で製作した「PICラジコン送信機3」を4チャンネル指定で使います。

      ←------------  約20msec周期  ------------→ 
      ←0.5〜1.5msec→
      ______     ______               ______
入力______| CH1 |_________| CH2 |_________________________| CH1 |_____
sampling↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑


約25usecがサンプリングの1周期なので 0.5msec〜1.5msecの信号パルス
幅を刻むと約20〜70カウントとなり、これが分解能となります。

(3)モータの制御方法(方向転換と正転/逆転の制御)
 モータへの速度指定の値は下記のようにして求めています。

  1.5msec --------
       ↑ この間は正転の値
       ↓
      --------
  1.0msec -------- モータOFF
      --------
       ↑
       ↓   この間は逆転の値
  0.5msec --------


7.実装方法

 速度制御用ICの形状がフィン付きで特殊なピン形状なので
実装上は一寸面倒ですが、通常の1mmの穴を
連続して空けて あとでカッターナイフなどで穴の間を切り落として
直線状の穴とします。

 モータからのノイズ混入を避けるため
モータの接続端子に直接0.1uF程度のコンデンサを
ケースとの間に直付けします。


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