写真は7MHz用VFOユニットで本VFOユニットの基板と
別ページのPLL制御ユニットと連動して動作する
他のページで紹介している7MHzSSB受信機の局部発振器として
応用できる1KHz単位で設定可変できる約19MHzのPLL方式VFO
発信ユニットです。
別ページで紹介している「PLL制御ユニット」に実装されているPIC
で制御され、 特に1KHz単位での周波数設定が可変でき、周波数も
5桁のLEDでディジタル表示できる優れものです。
普通PLL用IC(MC145163を想定)で可変単位を低くしたいとき、
差分の周波数で周波数変換を行いますが、こうするとPLLに与える
周波数設定と実際の操作パネルの表示周波数が異なることになり、
機器自作のとき結構難問になります。また送受信機の局部発振用の
PLLとしたときも同様に受信周波数とPLLの設定周波数が異なり同じ
問題が生じます。
今回制作したPLLコントローラは、これらを簡単にしかも変換周波数
を任意に設定できる様にすることが最大の目的です。また周波数設定
をディジスイッチによる設定ではなく、ロータリーエンコーダにより可変
できる様にすることも一緒に処理しています。
2. 回路構成
本PLLコントローラの回路構成を下図に示します。
LED 5digits Display
↑(serial interface)
--------- ----------
|ROTARY | | |
| ENCODER |->| PIC16C84 | ------------------------------
--------- | SW,PLL | | 74HC595 x2 |
--------- | Control |---->| SERIAL INPUT 16BIT LATCH |
| SWITCH |->| | ------------------------------
--------- ---------- ↓ ↓ ↓ ↓
PLL/LED Contorol Unit
---------------------------------------------------------------
↓ ↓ ↓ ↓
------------------------------
VFO unit | PLL CONTOROL (MC145163) |
| |
------------------------------
↑ ↓
---------- ------------ ---------------------
|12.288MHz |__| Balanced |__| VFO |---→ Output
|oscillator| | Modulator | | 18.273 to 19.800MHz | Local OSC
---------- ------------ ---------------------
3.機能
本コントローラの特徴と機能を箇条書きに示すと次のようになります。
(注)これらの機能は全て別基板となるPLL制御ユニット内のPICで
実行されています。
(1) PIC16C84を2個使っており、各々は1本のポートのラインで接続し、
非同期通信でデータの受け渡しをする。
このデータ受け渡しの速度は約10Kbps(1ビットが100usec幅)
(2) 実際のPLLを制御するICはMC145163で、4桁BCDを周波数
設定用の信号とする。
(3) LED表示制御専用PICの機能特徴
・5桁の7セグメントLEDをダイナミック表示制御(内部データは
6桁そのうち下位5桁を実際の表示として出力)
・ゼロサプレス機能付き
・もうひとつのPICとはシリアル通信でLED表示中も常時受信可能
(4) SW、PLL制御PIC
・接続しているスイッチの種類は下記。
ロータリスイッチ:インクリメント型のスイッチで右/左回りで
カウントアップ/ダウンを自動判別
UP : 設定周波数の高速カウントアップ
(押している間連続的にカウントアップする)
DWN : 設定周波数の高速カウントダウン
(押している間連続的にカウントダウンする)
SHFT: ロータリースイッチの可変単位の1倍/100倍の切替え
MRD : プリセット値の呼び出しスイッチ、
押すたびに20個を順次呼び出す。
MWR : プリセット値の書き込みスイッチ
(現在表示中の値をプリセット値として書き込む)
BIAS: PLL用と表示用の値の差分値を設定するモードにする
とき押す。
・ロータリエンコーダの入力に従い4桁BCD値を加算/減算する。
このときSHFTスイッチの入力により周波数可変単位を1倍か100倍
か切り替えることができる。これは大きく周波数を変えたいとき便利に
するため
(単位周波数はVFO側により決まる。SHFTスイッチは交互切替え)
・前項で設定された4桁BCD値をPLL用の設定周波数としてシリアル
入力のラッチに出力。そのラッチ出力をPLL−ICに接続して希望の
周波数にする
・この4桁BCD値に一定値(任意設定可能)を加算した6桁のBCD値を
表示用としてもうひとつのPICにシリアル出力。この一定値はPLLへの
出力と実際の周波数(受信機の場合、IFのフィルター周波数の差も含
めて)との差を吸収するもので、BIASスイッチによりこの値の設定モード
に入り設定値書き込み後通常モードに戻る。
この値はEEPROMデータエリアに保存されるので電源断中も消える
ことは無い。
・任意の時点の周波数を20個まで記憶書き込み。再起動後にも読み出し
可能。 (プリセット機能?)
これはPIC16C84のEEPROMデータメモリ内容が電源断中も消えない
ことを利用している。
・MRDスイッチによりプリセット値を順次呼び出す。呼び出したプリセット
値を変更したいときは、そのまま周波数を変更し希望の値にしたあと、
MWRスイッチを押すとそのプリセット値を置き換える。
さらに起動時にはこのデータエリアの最初にあるプリセットデータに
周波数をプリセットする。したがって起動時には常に一定の周波数に
セットされる。
・ロータリーエンコーダー意外にUP/DOWNスイッチにより高速に周波数
変更が可能。これは単に変更を高速にするだけでUP/DOWNのスイッチ
を押している間連続的にカウントアップ/ダウンさせる。
4.回路構成
全体回路は下図になります。
中心となるのはPLL制御専用ICのMC145163です。これに別基板のPLL制御
ユニット内のPICからパラレルの周波数設定信号がコネクタで接続されて
制御されます。
発振はVFOで19MHz付近を発振させ、もう一つ別の発振回路で
12.2735MHzを作ってそれを平衡変調用ICであるSN16913に入力してミックスし
差の約6MHzを作り出しています。
その6MHzをPLL制御して6.000から7.400MHzとして1KHzステップで制御して
います。 従って結果のVFOの出力は
12.2735 + (6.000 to 7.400)= 18.2735 to 19.6735 となります。
7MHzSSB受信機の中間周波数が11.2735MHzなので、上式の結果を差し引き
すると7.000から8.400MHzまでの受信が出来ることになります。
さらに、12.2735の発振回路の周波数はバリキャップで微調整できるようにして
います。これにより1KHzの間を微調整して自由に設定することが出来ます。
回路図とプリント板用アートワーク図は、CADである「HiWIREU」 で
描いているのでダウンロードして使って下さい。
VFOユニット回路図 (ダウンロードしてご覧下さい)
VFOユニットパターン図(ダウンロードしてご覧下さい)
5.プログラム
プログラムリストは、ワンチップマイコンPIC用統合開発環境である
MPLAB用としてあります。
PLL制御プログラムリスト(ダウンロードしてご覧下さい)
6.低価格ロータリーエンコーダ
メカニカルな摺動式エンコーダで出力は2ビット、各ビット間の位相差で
右回り左回りを区別をする。
・1回転 24パルス出力 クリック付き
・チャッタリング(バウンス)時間が長いので注意(2〜5msec)
・回転寿命:10万回
時計回り RE1 _____|~~~~|_____|~~~~|______
RE2 ________|~~~~|_____|~~~~|____
反時計回り RE1 _______|~~~~|_____|~~~~|_____
RE2 _____|~~~~|_____|~~~~|_____
入手先
(1) (有)秋月電子通商 1個 数百円
(03-3251-1779)
(2) サトー電気 1個 数百円
(045-472-9848、044-222-1505、0427-25-2345)