赤外線リモコン受信機

赤外線を使ったリモコン用の受信機で前項の送信機と
組み合わせて使います。
可変速のモータを2個まで制御できます。


1.概要
赤外線を使ったリモコン装置の受信機側です。前項の汎用の送信機と
組み合わせて使います。
送信機からの信号を受信し、通信の誤りチェックをしたあと、正常なら
キーコードに従った制御を行います。
2個のモータの速度制御、正転、逆転、ブレーキの制御などが出来ます
が、これらはプログラム次第で制御方法は自由です。
2.受信機仕様
赤外線リモコン受信機の仕様は今回製作したものは下記のようになって
いますが、実際には自由に自分で設定して使うことができます。
これがプログラム出来ることの良さになります。

 ・電源 : DC6−10V (モータ用と制御基板用と同一電源)
 ・モータ: 直流モータx2個(マブチRE140を使用)
       16段階速度制御、最大電流制限設定可能
 ・受信キーコード:最大32個まで区別可能
 ・デバイスコード:最大7種まで区別可能
 ・制御ロジック :PIC16F84を使用(クロック10MHz)
3.通信仕様
通信をするための方式とデータフォーマットは下記としています。
・通信速度 : 600μsec/1bit
・変調周波数: 37.9kHz(プログラム制御)
・通信時間 : 24msec(40bit/フレーム)
・フレームフォーマット
   フレームリーダ部 :  8bit
   データ      : 16bit
   データ(2連送) : 16bit(誤りチェックのための再送)
・詳細フォーマット
  下図が送信データの詳細なフォーマットです。左側から先に送信
  されます。信号の「1」は37.9kHzで変調されていますが、復調は
  受光モジュールの中で済ませてくれるので簡単です。しかし、受光
  モジュールの出力は1、0が反転した負論理となっていますので
  実際の出力は「1」のときLowの信号となりますので注意。

   

上図のデバイスコードは今回の試作では、「100」つまり「4」に設定
しています。
またキーコードは32種類の区分が可能ですが、今回使用しているのは
8種類だけです。そのコードと動作は下記の様になっています。

  コード      動 作    
  00    ストップ
  01    モータ1 速度アップ(1/16ステップづつ)
  02    モータ2 速度ダウン(   〃    )
  03    なし
  04    モータ2 速度アップ(1/16ステップづつ)
  05    モータ2 速度ダウン(   〃    )
  06    モータ1 方向転換(正転、逆転交互切替え)
  07    モータ2 方向転換(  〃       )
4.回路構成
今回の回路はPIC16F84を中心に、モータ制御用の専用ICである
「TA7289P」(東芝製)を2個使い、2個のモータをそれぞれ制御
しています。ICには真ん中に放熱用のフィン端子があるので、実装には
一寸穴明けが面倒ですが、便利なICですのでお勧めです。
全体回路は下図となります。

赤外線の受信用には、これも専用に作られた受光モジュールを使っていま
す。この受光モジュールを購入する時には、赤外発光ダイオードもペアで
一緒に購入した方が、波長がぴったり合わせられので好都合です。
この受光モジュールは赤外線のパルス信号を受信し、フィルター処理をし
37.9kHZの復調をしたあと、直接ディジタル信号で出力されるので便利な
ものです。(ただし出力は負論理)
中身は専用のICで出来ているようです。シールドケースに入っているの
で雑音にも強く出来ています。

ボリュームが1個付いていますが、これはモータの最大電流を設定するもの
で、モータ速度制御が最大の時、最大電流になるように設定します。
(適当な設定でもモータが壊れることはないので大丈夫です。)

回路へ供給する5Vの電源は、3端子レギュレータで作っていますが、低
ドロップタイプのレギュレータを使っていますので、入力電源が最低 5.2V
以上あれば、5Vを供給することが出来ます。
またモータへの供給電圧は、モータ制御用ICの内部で、最大約2V程度の
ドロップがありますので、モータに最大3Vの供給をするためには、電源と
しては最低5Vが必要です。もっとも、この電圧が低くなってもモータは回
転力が鈍るだけで回ることは回ります。
この両方を加味して、電源としては6V程度の供給が出来る電池ということ
になるかと思います。
つまり、NiCdx4本ではぎりぎりですので5本欲しい所です。(1.25x4=5V)
アルカリ電池でしたら4本でOKです。




下記はCADの回路図と基板パターン図のデータです。ダウンロードして
HiWIREでご覧下さい。

    赤外線リモコン受信機回路図
    赤外線リモコン受信機パターン図
5.プログラム
赤外線リモコン受信機のプログラムは、送信機同様非常に単純な構成と
しています。

 +→データを受信      2連送照合を行いエラーの時は何もせず
 |   ↓
 | デバイスコード照合   異なる時は何もせず
 |   ↓
 | キーコードに従った処理 処理内容は自由(今回は前項の内容)
 |___↓

データ受信処理では、まずスタートビットを待ちます。何もしていない時
はずっとこれを待ち続けています。スタートビットを発見したら、300
μsec待ってから再度読み込み確かにスタートビットであることを再確認
します。これが間違いなくスタートビットだったら後は600μsec毎に
データを読み込み、デバイスコード、セパレータの確認、キーコードそし
てストップビットシーケンスの確認と順に実行し受信したデータをメモリ
に格納します。引き続き2回目のデータを同様にして受信し、2つの受信
データを照合します。同じであったら正常受信として次に進み、異なって
いたら、何もせず最初に戻ります。
正常データの受信完了により、上位3ビットのデータであるデバイスコード
があらかじめ設定されているデータと同じかを確認します。同じで無かった
らやはり何もせず最初に戻ります。
デバイスコードが一致したら自分当てのキーコードと判断してそれぞれの
キーコードに従った処理ルーチンへジャンプします。
個々のキーコードの処理ルーチンではモータの制御を実行しています。
実行終了後は、最初に戻って次のデータ受信を待ちます。

プログラムソースは下記ですので、ダウンロードしてMPLABでお使い
下さい。

   赤外線リモコン受信機プログラムリスト
6.外観構成
赤外線リモコン受信機の基板の外観です。 これは具体例の一例でしかなく
汎用の通信データフォーマットなので使い方は自由です。


基板の全体です。
2個の一寸大き目のICがモータ制御用の専用ICです。
フィンが真ん中に出ているので一寸実装し難いですが
機能的には使いやすいICです。

基板を上部から見た写真です。中央上部の金属色
のものが赤外受光モジュールです。
両サイドにあるコネクタがモータへの接続と
電源供給を兼ねたコネクタです。


  目次ページに戻る