USB接続の8桁周波数カウンタ(ハードウェア編)

 CPLDの周波数カウンタブロックとPICを組み合わせた
 8桁80MHzの周波数カウンタです。今回はこれに
 USBコントローラを追加してパソコンとUSBで接続して
 リモコンができるようにしました。


【概要】

既に紹介ずみの「CPLDを使った8桁の周波数カウンタブロック」を使った
周波数カウンタに、USBコントローラを追加して、パソコンからリモコン
できる周波数カウンタを製作してみました。
これで、長期間の周波数安定度などのデータを収集することが可能に
なりました。
前面パネルには電源スイッチと液晶表示、入力コネクタだけという
すっきりとした外観です。
 表示を液晶表示器にしましたので、いろいろな表現が可能です。




JTAG端子を使ってCPLDのプログラミング中
CPLDを実装したままできるので便利。



 これまでに製作した測定器をすべてUSBで接続し、パソコンから同時に制御
することができるので、いわゆる実験室レベルの測定環境がUSBで統合できる
ことが確認できました。
パソコンへの接続には、ハブを追加します。このハブで4から8系統のUSBが
接続できるようになりますので、それぞれの測定器のプロダクトIDを変えて
おけば、同時に全ての接続をしても問題なく識別でき、それぞれ独立に同時に
制御することが可能です。

下図は今回実験に使用した小型のハブで、バスパワーですので電源も不要です。
こんな簡単なものでUSBへの接続系統が増設できるので、USBを使うのが測定器
環境構築には便利だと思います。


左側がパソコン側、バスパワーなので
ハブ用の電源は不要です。






【全体構成】

 この周波数カウンタの全体構成は下図のようになっていて、全体を1枚の
基板の中に実装してしまいました。
 カウンタ部は、CPLDで構成し、入力アンプで増幅され整形された信号を
CPLDに直接入力して8桁のBCDでカウントします。そして毎回カウント結果の
8桁のBCDデータをPICのポートから入力し、液晶表示器に表示しています。
 さらにこのPICにはUSB9603のUSBコントローラが接続されていて、USBで
パソコンと接続することが出来ます。
 パソコンから計測要求があると、そのときのゲート時間が完了した時点で
カウント値をパソコンに返送します。










【全体回路構成】

 クロックには12.8MHzの高精度水晶発振器を使用して1ppmという高精度を
確保します。そしてその出力を直接CPLDに入力するとやや不安定になるので、
一旦74AC14でバッファしてから加えます。PICにも同じクロックを分配して使って
います。

 入力アンプはお決まりのパターンの回路ですが、トランジスタにはfTが1GHz
以上の周波数特性の良いものを使います。
さらに出力に74AC14のシュミットバッファを挿入して、波形の崩れたパルスでも
誤カウントしないようにします。

 PICは、ポートのピンを全て使い切っていますのでちょっときついですが、PICを
有効活用しています。

 CPLDを実装したままプログラミングができるように、JTAGの端子を用意して
います。ここにXilinxのプログラマのJTAG信号を接続すれば、電源を入れたまま
機能を書き換えて即動作させて確認することが可能となります


 USBコントローラはお決まりのパターンで、SPI通信による接続となります。
セルフパワーサプライ方式なので、USBコネクタの電源ピンは使いません。
USBコントローラのクロック用の24MHzには、小型のクリスタル発振器を使いまし
たが、単純なクリスタル振動子でも大丈夫です。

 電源回路は5Vだけですが、電流が250mA近く流れますので、大型の3端子
レギュレータを使い、放熱フィンを追加します。






 下記は本周波数カウンタの回路図とパターン図です。IVEX社のWinDraft
WinBoardでお使い下さい。

  ★ 8桁周波数カウンタの回路図とパターン図


【制御基板の外観】

 この回路を実装した基板が下図のようになります。CPLDを小型のものに
できましたので、小型基板で全ての部品を実装することが出来ました。


電源の3端子レギュレータは放熱フィンを取り付けて
います。
USBコントローラはフラットパッケージですので
基板のはんだ面側に直付けです。



CPLDはソケットに実装し、JTAG端子を設けて
おくことでこのままプログラミングが出来ます。
高精度クリスタル発振器は周波数微調整用の
穴があります。
写真は74HC14ですがこの後74AC14に交換しています。


入力アンプ回路です。コンデンサには小型の
積層タンタルコンデンサを使いました。





【ケースへの実装と外観】

上記の回路をすべて1枚の基板に実装してしまいましたので、ケースへの実装
は非常に簡単です。
特に、電源は、外部より9VのDC電源を供給するものとして簡略化しました。


内部実装は1枚の基板だけなのですっきり。
将来プリスケーラを取り付けることを考え
スペースを空けておく。
電源コネクタに直接ダイオードを接続して±誤挿入
対策をしています。



前面パネルの実装は液晶表示器と、電源スイッチ
さらに入力用コネクタ。入力用コネクタにはBNCと
ピンジャックを併用できるようにしました。
液晶表示器はバックライト付きです。

 液晶表示器の固定には2mmのねじを使って2ヶ所だけ固定しています。
右上の方はねじのナットがパターンに接触するため絶縁ワッシャを使って
います。
またコントラスト調整用の可変抵抗は、液晶表示器に直付けしてしまいました。
液晶表示器の基板左側に1個抵抗が追加されていますが、バックライトの
明るさ調整用で、30Ωでちょうど良い明るさと消費電流となりました。
余り小さな抵抗にすると明るくはなりますが、電流が増えるので、電源の
3端子レギュレータが熱くなってしまいます。



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