便利なDC/DCコンバータIC
バッテリから5Vか3.3Vを作れるワンチップの
DC/DCコンバータICです。結構便利に使えそうです。
出力可変タイプもあります。
【概要】
Microchip社のアナログ製品である、電源用ICの中に、ワンチップのチャージ
ポンプICとしてMCP1252、MCP1253というICがあります。
今回、このICを使って試作してみました。
端子のLow・Highだけで出力電圧を3.3Vと5.0Vに切り替えられるので、バッテリ
動作でPICなどを動作させるときには便利に使えます。
公称出力電圧が3.7Vのリチウムイオンバッテリから、5Vあるいは3.3Vを作る
ときには最適な条件で使えそうです。
ニッカドやニッケル水素電池の場合には、3.3Vの時には2本直列で良いですが
5Vを作るときには、3本直列にする必要がありそうです。
【MCP1252/3の概要】
チャージポンプICであるMCP1252とMCP1253の仕様は下記のようになっています。
まず、このICにはいくつかの種類があって、固定出力タイプのMCP1252/3Xという
ものと、可変出力タイプのMCP1252/3Jという2種類に大別されます。
それぞれの差異の詳細は下記のようになっています。
型名 MCP1252X MCP1252J MCP1253X MCP1253J スイッチング
周波数650kHz ±20% 1MHz ±20% 入力電圧
Vin2.1V〜5.5V(3.3V出力)
2.7V〜5.5V(5V出力)2.0V〜5.5V 2.1V〜5.5V(3.3V出力)
2.7V〜5.5V(5V出力)2.0V〜5.5V 出力電圧
Vout3.3Vまたは5.5V
(精度±2.5%Max)1.5V〜5.5V
(MaxはVin×2)3.3Vまたは5.5V
(精度±2.5%Max)1.5V〜5.5V
(MaxはVin×2)最大供給電流 120mA 120mA 消費電流 Typ60μA Max120μA Typ60μA Max120μA リップル 50mV 45mV
次にICのピン配置は下図のようになっています。固定出力と可変出力では
8ピンのひとつだけ異なっています。
《固定出力タイプ》
8ピンが出力電圧選択になっていて
Low(0.4V以下)で5V、
High(1.4V以上)で3.3Vになります。
SHDNにLowを入力すると出力断
電圧出力中のときはPGOODがHigh
《可変出力タイプ》
8ピンが出力電圧設定ピンになって
います。
パッケージは下記写真のような形で、非常に小型のMSOP型フラットパッケージで、
外形は、3mm×5mmしかありません。
ピン間が0.026インチ(0.65mm)なので、
ちょっとはんだ付けテクニックが
必要になりますが、8ピンしかあり
ませんからフラックスを使えば
何とかなるでしょう。
【回路構成】
固定出力タイプを単独で使うときには、下図のような回路構成で使います。
コンデンサには、内部スイッチング周波数が高いので、いずれも大容量セラミック
コンデンサが適しています。チップ型コンデンサが配置、配線上便利でしょう。
このときの出力電圧特性は、データシートによれば、グラフのようになりますので、
結構安定で正確な電圧が出力されます。
《出力3.3Vの場合》
結構安定している
(データシートより)
《出力5.0Vの場合》
実用的には入力が3V以上
必要になりそうです。
リチウムイオンバッテリ
2次電池にはうまく使える。
(公称3.7V出力)
(データシートより)
《可変出力タイプの場合》
可変出力タイプを使う場合の回路は下図のようにします。
出力はR1、R2の抵抗により分圧して加えられるFBの電圧により制御されます。
出力電圧の最大値が
入力電圧で抑えられる
ので注意が必要。
(データシートより)
【外観】
固定出力タイプを実際に組み立てた状態の外観は、下記写真のように
なります。
小型フラットパッケージですので、余り場所を必要としないのも便利です。
コンデンサはすべてチップ型の大容量セラミックコンデンサを使いました。
左右にあるのが10μFの
セラミックコンデンサ、
下にあるのが1μFの
セラミックコンデンサ
わずかのスペースに納まる