ここでは、HiWIREU School Versionを使ってプリント板用のパターン図を
上手に描く(アートワーク)ためのコツを説明します。
ここでの使い方はいわゆる「お絵描きCAD」で回路図とのリンクは特に
使いません。旧来のマジックインキでパターン図を描いていたのを
パソコンに置き換えたと考えて下さい。
修正も楽々、何度でも書き換えできますし、同じ回路ブロックは別の
パターン図からコピーも出来ます。手書きのことを考えたらパソコンで
出来ることは格段の進歩です。
2.基本設定方法
パターン図を描くための基本的な設定は下記のようにすると便利です。
(1)Ctl→Wdth は「30〜50」を指定
(2)Ctl→Grid は「25」を指定
(3)Ctl→Snap は「On」を指定
(4)Ctl→Lock は「Off]を指定
(5)Ctl→Band は「Off」を指定
(6)Ctl→Disp は「1,255」を指定
3.設定内容の説明と上手に描くコツ
(1)レイヤの使い方
HiWIREでは256層ものレイヤが使えますが、実際のパターン図作成の
時には下記とすると便利です。
レイヤ間の移動は「+」「−」で何時でも移動できます。
また常に全部の内容が表示されていた方がやり易いので、Ctl→Dispで
指定します。
レイヤ番号
描画内容
0
部品の端子用ランド、スルーホール 1
半田面の接続配線、Pad 2
部品面の接続配線、Pad 255
部品の外形図、ストラップ配線(部品面) 253
加工用外形図、穴あけなど(使わなくても構わない)
実際の作図作業は下記の様にします。レイヤ毎に線色が変わる。
・まずレイヤ255で基板の外形をWdth0で描く。
・レイヤ0に戻って各部品をライブラリから選択し貼り付ける。
・次にレイヤ1に移動して、Wdthを配線用にして配線をする。
・次にPadを使ってアースパターンや幅広い配線を描きます。
(2)線幅の指定方法 (Ctl→Wdth)
このコマンドはパターンで描く配線の幅とPadの角の丸みも指定されます。
Wdthで「0」を指定すると、印刷の時の幅は、パターン図では8ミルになる。
しかし実際の配線としては、1mmから5mm位の幅は確保しておきます。
従ってWdthとしては下記を目安にして設定します。
この設定は片面基板を作る際に都合が良い値となっています。
線幅
使い道
15(0.4mm) ICのピン間を通す時 30(0.8mm) 細目の配線(ICの込み入った部分) 50(1.2mm) 通常の配線 80(2.0mm) GND、電源まわり それ以上 べたGNDパターン補修用 Pad べたGNDパターン
(3)グリッドの値 (Ctl→Grid)
パターン図用にグリッドを指定する時には、部品配置の時には「50」か
「25」が便利です。これは、各部品の実装間隔の多くが1/10インチを
ベースにして作られているため、「25」(1/40インチ)か「50」(1/20インチ)
が配置し易いためです。
また配線をする時には、「10」(1/100インチ)が便利です。これはICなどの
ピンへ配線する時、真ん中の穴を配線パターンでふさいでしまわないよう
にするためです。
つまり、配線はピンのランドの出来るだけ端の方に接続します。
そして Ctl→Snap→Onとコマンド指定してグリッド作画モードにします。
これは接続を確実なものにするためです。
(4)表示レイヤの指定 (Ctl→Disp)
画面には全レイヤが常時表示されていないと作業しにくいので、全ての
レイヤが表示されるようにします。
コマンド指定した時要求される、Secondary layers: に対しては、「1,255」
と指定し色は適当な色にして(デフォルトのままが良い)「OK」とします。
上図は実際の描画例です。左部のコネクタ部は 15ミル幅の細線で
ピン間に配線しています。
グランドはPadでベタの四角でエリアを塗りつぶし、角は幅80ミルの
幅広い線で斜めの塗りつぶしを描いています。
ICなどのランドへの配線はランドの出来るだけ端の方に接続し、
真ん中の部分を空けておきます。
印刷した時の穴あけ用の塗り残しをつぶさない様にするためです。
ストラップ線の場合には、ストラップ用ランドを配置したあと、配線を
255レイヤの白線で描いておきます。