ICSP対応の回路設計法


【ICSPの注意事項】

ICSPを使う場合には注意すべきポイントがいくつかあります。特に
PICSTART Plusを使ってケーブルを追加してICSPを行う場合には注意が
必要です。
それらを列挙すると下記のようになります。

(1) Vdd(またはVcc)電源の供給方法
 PICプログラマ側からVccつまり5V電源を供給しようとすると、プログラマ側
 の電流容量が不足することがあり、書き込みに失敗することがあります。
 従って、基板実装のPICにICSPでプログラミングする場合には、基本的に
 ターゲット側からVdd電源を供給するする方が確実です。
 ICD2の場合には、ICD2にACアダプタを接続すれば、200mAまでの電源供給
 が可能です。PICSTART Plusからケーブルを出してICSPにする場合には
 ほんのわずかしか供給できません。

(2) PICSATRT Plus利用の場合には、書き込み中はクロックを停止させる
 ターゲット側のクロック発振回路が、書き込み中に動作していると、書き込み
 を失敗することがありますので、OSC1ピンをVssつまりグランドに接続して、
 強制的にクロックの発振を停止させます。 
 ただし、ターゲット基板のクロック回路が外部発振器を使っている場合には、
 発振器の出力をグランドにショートしてしまいますので、壊れることもあります。
 この場合には発振器を切り離しておくことが必要です。
 これもICD2の場合には、確実に動作するように改善されていますので、必要
 ありません。

(3)PICSTART Plusの場合、ターゲット基板のVccは5Vが必要
 PICSTART PlusでICSPを行うときには、書き込み中のターゲット基板側でVccを
 自給しますが、この5Vは、5V±0.5Vを要求しますので、バッテリ動作の場合には
 注意が必要です。
 ICD2の場合には、2から5.5VまでICD2側で対応できるようになっていますので
 問題無くプログラミングできます。

(4) ケーブル長は30cm以下にする
 PICSTART Plusにケーブルを追加してICSPを行う場合には、ケーブル長が
 30cm以上にならないように注意が必要です。長いと動作が不安定となります。
 ICD2も標準添付のケーブル以上には延長しない方が良いでしょう。


【ICD2のICSP対応の回路】

ICSPを可能にするために、PIC側の回路設計で注意しなければならないこと
がいくつかあります。
 というのも、同じピンを本来の入出力ピンに使いながら、書き込み時には
書き込み用に使うという兼用のピンになっているためです。
この対策内容をMPLAB ICD2を使う場合についてまとめたものが、下図となります。
  (注意)本図のJ1コネクタはモジュラージャックではなく、小型の別コネクタです。
      したがってピン番号がモジュラージャックとは異なります。

      モジュラージャックの場合は次のページを参照して下さい。





 上図でのポイントは下記のようになります。

(1) MCLRの保護回路
  まず必須のものは、MCLRの保護用の回路です。MCLRピンには、
 書き込む時にVppとして13V(ICD2は12V)が加わります ので、MCLRに接続
 されている他の回路に悪影響を与えないようにする必要があります。
 そのためには、上図のの回路構成として、抵抗でダメージを回避するように
 します。

(2) RB6,RB7の保護回路
 RB6、RB7ピンを汎用の入出力ピンと兼用する場合で、外部へ出力する場合
 には、書き込み用信号が入っても、その先で動作上問題無ければ直接接続
 しても構いません。 しかし、入力の場合には、ICSPで出力信号が接続され
 ますから、出力同士がぶつかることになりますので、その場合の対策が必要
 です。
 通常は、数kΩの抵抗を直列に挿入しておけば問題ありません。


 これらの対策をすれば、ICSPで何ら問題なく書き込むことができます


【ICD2の場合の注意】

MPLAB ICD2をプログラマとして使うときには、PICの回路設計では、
下記のような注意をする守る必要があります。

(1) PGC、PGDラインにはプルアップ抵抗をつけない。
  これはICD2側で4.7kΩの抵抗でプルダウンしているため、分圧されて
  電圧が下がるため正常な動作をしなくなってしまうからです。

(2) PGC.PGDラインにはコンデンサをつけない。
  高速なパルス信号でデータ伝送が行われるので、コンデンサにより
  遅れると正常なデータ伝送ができなくなるためです。

(3) MCLRラインにもコンデンサはつけない。
  これも同じように高速パルスが遅れてしまうためです。

(4) PGC,PGDラインにはダイオードを挿入しない。
  このラインは双方向通信をしているので、それができなくなってしまう
  ためです。

 これらを図で表すと下図のようになります。






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