TCP/IPスタック Ver4.50の概要


【概要】

 TCP/IPスタックとは、LANを使った通信を行うアプリケーションを作るとき
必要とされる、TCP/IP通信のプロトコルに関するプログラムをまとめて
1つのプログラム群としたものです。

 マイクロチップ社のTCP/IPスタックは、もちろんPIC用に作られたもので
下記のファミリに対応しています。

(1) イーサネットモジュール内蔵PIC18Fファミリ
(2) PIC18ファミリ + ENC28J60イーサネットコントローラ
(3) PIC24/dsPICファミリ + ENC28J60
(4) PIC32MXファミリ + ENC28J60

 世界標準のTCP/IP通信に必要とされる通信プロトコルのほぼ全てに
対応しており、各プロトコル毎にモジュール化されたプログラム群から構成
されていて、必要となるモジュールだけ組み合わせて再構成できるように
なっています。

特にVer4.50になって、プログラムモジュール構成が整理され、
コンフィギュレーション用のヘッダファイルだけ修正すれば、
ネットワーク関連のモジュール自身は修正も変更もなく使えるように
なりました。
さらにセキュリティを厳しくする暗号化を含めたSSL方式によるウェブサーバ
にも対応させました。


 このTCP/IPスタックは、下記の言語のいずれかで使えます
・MPLB C18 Cコンパイラ
・Hi-Teck社 PICC 18 Cコンパイラコンパイラ
・MPLAB C30 Cコンパイラ
・MPLAB C32 Cコンパイラ

MPLAB-C18/C30/C32についてはフリーのStudent Editionが提供されて
いますので、これで十分使えます。


【内部構成】

バージョンアップに伴い、かずかずの機能追加が行われ、モジュールも
増えていますし、できるデモの種類も増えています。
しかし基本のスタック構成に大きな変更は無く、下図のようなモジュールで
構成されています。
各モジュールの機能については、別途解説とします。

一番下位層はいわゆるドライバに相当する部分で、上記の各ハードウェア
構成に対応したドライバが組み込まれています。したがって、イーサネットの
インターフェースに関する詳細は知らなくても使うことができます。

その上は標準的なプロトコルのモジュールです。
さらにアプリケーションに相当するモジュールも多く含まれていますので、
インターネットに接続して行う機能は大抵のことはできるようになっています。

ウェブサーバとして構成した場合、ページのデータをファイルとして格納しておき、
それらをHTTPプロトコルでダウンロードしたり、
FTPプロトコルを使ってファイルとしてアップロードできるようにすると便利です。
このために用意されたファイルシステムがMPFSモジュールです。
FATファイルシステムのような本格的な構成にするとプログラムが大きくなり、
メモリ消費が多くなりますので、簡易のファイルシステムとなっています。








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