TCP/IPスタックの基本的な使い方


【ファイルのコピーの仕方】

スタックを使う場合には、下記の手順でプロジェクトを作成して使います。

(1) 新規プロジェクトを作成するため、新たにフォルダを作成する
  下記の例では、SampleというフォルダをFドライブに作成した。
(2) スタックから<Include>のフォルダをフォルダごとコピーする
  これで基本のヘッダファイルがすべてコピーされる
(3) スタックから<TCPIP Stack>のフォルダをフォルダごとコピーする
  サブフォルダは削除する
  これで基本のCのソースファイルがすべてコピーされる
(4) <TCPIP Demo App>のフォルダ直下にある下記2つのファイルをコピーする
   "HardwareProfile.h" と "TCPIPConfig.h"
   "HardwareProfile.h"のファイルは、使用するハードウェアのピン設定などの
   構成を設定するようになっていて、これで異なるハードウェアでもスタックが
   共通に使えるようにする。
   "TCPIPConfig.h"のファイルは、どのプロトコルを使うかを指定するように
   なっていて、ここで必要なファイルのリンクが自動設定されるようになって
   いる。
(5) <Output>というフォルダを新規に追加する
  ここにコンパイルによって生成されるオブジェクト関連のファイルが格納される
  ようにする。




【プロジェクトの作り方】

上記のようにプロトコル関連のファイルをコピーしたら、MPLAB IDEでプロジェクトを
作成します。

(1) MPLAB IDEで新規にプロジェクトを作成する
  デバイスはPIC18F67J60など実際に使うイーサネット内蔵デバイスを指定し、
  ファイルは何も登録しないで空のプロジェクトを作成します。
  ここでは「Sample」というプロジェクトを作成したとします。

(2) メインのプログラムファイルを作成しプロトコルを指定する
  実際のアプリケーションとなるmain関数を含むソースプログラムを作成します。
  この実際の作成方法には、デモアプリケーションのメインのソースを参考にsて
  作成します。例では"Sample.c"として作成したとします。

(3) ハードウェアのピンの設定をする
  "HardwareProfile.h"を修正してハードウェアのピンの指定変更をします。

(4) "TCPIPConfig.h"のファイルを修正して使用するプロトコルを設定します。
  
(5) MPLAB IDEの[Project Window]で、下図のように、[Source Files]と[Header Files]に
  必要なファイルを登録します。どのファイルが必要かは、作成するアプリケーションに
  よって決まります。
(6) リンカスクリプトを追加
  [Linker Script]に、使うデバイスのリンカースクリプトをMPLAB C18のフォルダから
  指定して登録します。(MPLAB IDE 8.10以降では指定不要で自動登録される)



(7) プロジェクトのパス指定
 プロジェクトが使用するディレクトリのパスを設定します。MPLAB IDEが自動生成する
 オブジェクトなどのファイルを出力するディレクトリを<Output>に指定し、
 ヘッダファイルを探す場所にプロジェクト内のディレクトリを追加設定します。

  設定方法は、MPLAB IDEで[Project]→[Build Options]→[Project]で開く下図の
  ダイアログで、[Directories]タブを選択し、[Show directories for:]の選択欄で、
  図のように[Output Directory]と[Intermediary Directory]と[Include Search Path]を
  順次に指定し、[New]ボタンをクリックすると追加される行の欄の右端にある小さな
  ボタンをクリックして、それぞれ図のようにプロジェクト内のディレクトリを追加します。
  [Intermediary Directory]とは、コンパイラが生成する中間オブジェクトファイル
  (拡張子が.o)を出力するディレクトリ指定となります。

  それぞれに追加するディレクトリは下記のようにします。
  (Fはプロジェクトのディレクトリを作成したドライブ名)

  ・[Output Directory]     → F:\Sample\Output
  ・[Intermediary Directory] → F:\Sample\Output
  ・[Include Search Path]   → F:\Sample
                     F:\Sample\Include
                     F:\Sample\Include\TCPIP Stack









(8) MPLAB C18コンパイラの環境設定
 MPLAB C18コンパイラに対して、変数の扱いとメモリモデルの指定をします。
 この手順は、MPLAB IDEで[Project]→[Build Options]→[Project]で開くダイアログで、
 [MPLAB C18]タブを選択します。
 まず下図のように[General]の[Categories]で[Treat 'char' as unsigned]にチェックを
 入れます。



 次に、[Categories]で[Memory Model]を選択し、[Code Model]欄で[Large code Model]側
 をチェックします。これで64kバイトより大きなプログラムメモリを扱えることになり
 ポインタのビット長が長くなります。




(9) コンパイル実行
  これですべての設定が完了しましたので、MPLAB IDEのメインメニューにある窓で
 [Debug]を[Release]に変更してから、[Project]→[Build All]でコンパイルを実行します。
 「BUILD SUCCEEDED」でコンパイルが正常に完了するまで誤りを修正して繰り返します。



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