TCP/IPスタックの概要(Ver3.75)


【TCP/IPスタックとは】

 TCP/IPスタックとは、LANを使った通信を行うアプリケーションを作るとき
必要とされる、TCP/IP通信のプロトコルに関するプログラムをまとめて
1つのプログラム群としたものです。

 マイクロチップ社のTCP/IPスタックは、もちろんPIC用に作られたもので
PIC18シリーズとPIC24シリーズ、dsPICシリーズ、さらにイーサネット内蔵
PIC18用に使われることが前提になっています。
 世界標準のTCP/IP通信に必要とされる通信プロトコルのほぼ全てに
対応しており、各プロトコル毎にモジュール化されたプログラム群から構成
されていて、必要となるモジュールだけ組み合わせて再構成できるように
なっています。

 このスタックのデモプログラムは、下記の組み合わせで動作するデモで
ウェブサーバを構成するプログラムとなっています。

 (1) HPC_Explorer(PIC18F8722)+PICtail(ENC28J60)
 (2) PICDEM.Net2(PIC18F97J60+ENC28J60)
 (3) FS_USB(PIC18F4550)+PICTail(ENC28J60)  非推奨
 (4) PICDEM.net(PIC18F4620+RTL8019AS)
 (5) Explorer16(PIC24F/dsPIC33F)+PICtail plus(ENC28J60)
 (6) dsPICDEM1.1+PICtal(ENC28J60)
 (7) PIC18F97J60 Test Board サンプル用
 (8) 自作ボード(YOUR_BOARD)  内容は追加変更が必要)


 このTCP/IPスタックは、C18 C言語かC30 C言語またはHiTech社C言語で記述
されていますので、マイクロチップ社のMPLAB-C18MPLAB-C30、または
Hi-Teck社のPICC 18コンパイラが必要です。
MPLAB-C18/C30コンパイラについてはフリー版が提供されていますので、
これで十分使えます。

【入手先と展開方法】

 マイクロチップ社のTCP/IPスタックのデモプログラムは、フリーソフトとして、
C言語のソースファイルで提供されています。
ウェブサーバとして動作するデモプログラムとして提供されていますので、
直ぐ動作するプログラムとなっています。

 入手先は下記のマイクロチップ社のサイトから直接ダウンロードできます。


  ★ マイクロチップ社 TCP/IP スタックデモダウンロードサイト
    (MCHPTCPStack 3.75.zip)

 このドキュメントについては上記と同じページにある下記説明書によります。

  ★ Microchip TCP/IP Stack Application Note


 無事ダウンロードが完了したら、ZIPで圧縮されていますので、まずは解凍
します。解凍すると、「MCHPTCPStack 3.75.exe」という実行ファイルが
生成されますので、これをダブルクリックして実行すれば、ソースリストなど
すべてのファイルを展開します。
 途中でインストールするフォルダを聞かれますので、適当なフォルダを指定
してNextで進みます。通常はデフォルトのままでよいでしょう。
インストールが完了すると、下記のような構成のフォルダが生成されます。
   
  MCHPTCPStack 3.75
   Demo board files  :PICTailとPICDEM.net2のドキュメント
   Include      :ヘッダファイルのフォルダ
   Linker       :専用のリンカ用のフォルダ
   Source       :ソースファイルのフォルダ
   Microchip Ethernet Dsicoverer

                    :ネットワーク対応PCプログラム例
   MCHPDetect     :UDP通信用のPC側C++のデモプログラム
   WebPages      :デモ用のWeb画面データ

CコンパイラのMPLAB-C18/C30のフリー版は下記からダウンロードできます。
60日を過ぎると最適化のレベルが下がりますが、開発ではまったく問題ありませんから
そのまま使えます。

  ★ MPLAB-C18フリー版のダウンロードサイト
  
  ★ MPLAB-C30フリー版のダウンロードサイト

  

【デモプログラムの概要】

このデモプログラムはマイクロチップの下記ボードの組み合わせで動作するように
作成されています。いずれも安価なデモボードとなっていますので、この構成で
ソフトウェアの動作確認をするのも良いでしょう。
  
  PICDEM HPC Explorer Board
  PICtail Ethernet Board
  PICDEM.net2

HPC Explorer Boardで動作確認をしている状態が下記写真となります。


水平となっているのがHPC Explorer
垂直となっているのがPICtail Ethernet


【スタックのモジュール構成】

マイクロチップ社のTCP/IPスタックのモジュール構成は下図のようになっています。
物理層のEthernetに所にENC28J60用とPIC18F90J60用のドライバが含まれています。
TCP/IPのスタックだけでなく、HTTPやFTP、DHCPなどのアプリケーションも
含まれていますので、基本的なWebサーバレベルは直ぐにでも動かせる
構成となっています。




《特徴》
 ・TCPとUDPのソケットをサポート
 ・PIC18、PIC24、dsPICの各デバイス間で移植可能
 ・MPLAB-C18、MPLAB-C30、HITECH PICC-18コンパイラに対応
 ・RTOSは不要で、mainループ内でポーリング
 ・フルTCPステートをサポートしている
 ・モジュール設計になっていて、必要なものだけ自動リンクする

さらにVer3.75からの追加機能として
 ・DNSをサポート
 ・NetBIOSのネームサービスに対応
 ・HTTPクライアント機能(TCPクライアント例)
 ・Eternet Device DiscoveryというPC側サンプルプログラム


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