【第31回情報交換会概要】
開催日時 2009年 5月 3日 PM1:00〜PM5:30
開催場所 川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
7階 第3会議室
【まとめ】
1年半近くのブランクで、しかもゴールデンウィーク最中での開催でしたが
30名以上の方々の参加を頂きました。参加された方々には感謝いたします。
しばらくぶりでしたのでマイクロチップジャパンの渡辺さんにも参加して頂き、
最新のマイクロチップ社の状況をプレゼンしていただきました。
皆さん方からも、力の入った多くの作品を紹介していただき、すごく短く感じた
半日でした。
《参加者写真》
《スナップ》
【作品紹介】
1.最新デバイス紹介 : 渡辺さん、後閑
マイクロチップジャパンの渡辺さんから、最新ファミリの紹介がありました。
それに続いて後閑の方から最新ファミリのアーキテクチャの説明をしました。
最新デバイス
・エンハンスド ミッドレンジPICファミリ PIC16F19xx
・PIC18 Kファミリ 極低消費電力
・PIC24のロードマップ
・PIC32MXのアーキテクチャ
2.気象観測システム : 菊池さん
多項目に渡る気象データを計測するシステムで、電源は太陽電池から供給し、
1年間連続動作しているとのことです。
計測項目は、気温、湿度、風速、風向、照度、雨滴、気圧、太陽電池電圧
センサ部 : 手作りのセンサ
センサ入力部: PIC18F252で処理し無線で送信
受信部1 : PIC24HJ256GP206でデータログ、SDカードに記録、グラフィックLCDに表示
受信部2 : PIC18F2550で無線受信したデータをPCにUSBで送信
電源部 : PIC16F88で太陽電池からのバッテリの充電制御とDC12V出力の制御
PC : データをリアルタイムでグラフィック表示、記録保存
PICの全ファミリを使った作品で、半年ほどかけて作られたとのことでした。
センサ部
手作りの風向、風速、雨滴など
すべてのセンサが組み込まれている。
風向センサは、磁気センサで風向の矢の
軸に取り付けた永久磁石の回転角度を
読み出すことで実現
受信部1
グラフィックLCDを使っていて
漢字も表示されている。
8x8の恵梨沙フォントの漢字
受信部1の内部
PIC24Hが使われている
SDカードも見える
PCで風向、風速のリアルタイムな
グラフィック表示。
VBで自作されたとのこと
3.旋盤チャック把握力のモニタ : 横山さん
旋盤のチャックが対象物を掴んでいるときの圧力をリアルタイムで計測し、
異常があればLEDの光で旋盤チャック部を光らせることで安全な作業が
できるようにするシステム
旋盤の回転するチャック内に歪ゲージと高速A/DとPIC18F2320の制御部を実装し、
異常を判定するとともに、光通信で外部にデータを高速通信する。
外部にはPIC18F2550の受信処理部があり、受信したデータをバッファリングしながら
USBでPCに送信する。
PCでリアルタイムにデータをグラフ化しながらモニタする。
電源も非接触で外部から回転機側に供給する。回転トランス方式で実現。
装置のデバッグ用擬似セット
左半分が回転機側、右側が
外部受信処理部側
中央にLEDとフォトダイオードによる
カプラがある。
PC側のモニタ画像の説明中
PC側はLABVIEWで作られたとのこと
4.VoIPによるリモート無線機コントローラ : 笠木さん
インターネット経由で九州の出張先から東京の自宅にある無線機を使おう
というもの。音声も送るので、そのまま無線交信ができる
VoIP(Voice over IP)のプロトコル技術を使って音声もインターネット経由で送る
ことで、無線機を直接リモートから使えるようにしたものです。
ダイナミックDNSを使って自宅とのインターネット経由の通信ができるようにしています。
dsPIC30F4012+ENC28J60による
ソフトウェア処理でVoIPを実現
マイクロチップのTCP/IPスタックに
VoIPプロトコルとPPPドライバを実装
したとのこと
動作の解説中
PC側ソフトも自作
なかなか見栄えのする画面ですね。
5.ペルチェ素子用温度コントローラ : 川口さん
熱帯魚の水槽の温度制御をペルチェ素子で何とかならないかと考えて作成した
温度コントローラです。PIC16F877Aを使って実現しています。
エッチング液の加熱やハムスター用の暖房用として使えるとのことですが、
まだ熱帯魚用は実現できていないとのことでした。
NTCサーミスタで広範囲の温度を測定するのに苦労されていて多くの工夫が
組み込まれています。制御にはPID制御方式を組み込んでいますが、パラメータ調整
が難しいとのことでした。
長いフィルム状のNTCサーミスタで
温度を測定
下側のロータリエンコーダで温度を設定
ペルチェ素子のドライブはブリッジ用
FETアレイを使っているとのこと
青、赤の2色LEDで冷房と暖房を表示
6.電波時計較正用模擬電波発生器 : 斉藤さん
電波時計を製作する場合、室内では実際の電波を受信するのは難しいため、
デバッグがしにくくなります。そんなとき役立つように電波時計用の擬似電波を
送信することができるようにしたものです。
結構便利で、秋月でキットとして発売することになったそうです。
上側がコントローラ部でPIC18F452が
使われています。
下側が無線送信部でループアンテナで
電波を出力します。
40kHzと60kHzいずれも可能とのこと
秋月電子から発売中のキット
左側がキットを組み立て完了したところ
7.LCメータ : 日高さん
PICを使って値が直読できるようにしたLCメータです。
内部では1MHz程度の発信器で測定し、PICを周波数カウンタの動作をさせて
計測しているとのこと
外観がすばらしい出来映えです。
容量は数pFから0.1uF程度まで
計測できるとのこと
コイルは数uHから数mHまで?
スケルトンの作品
実装もじつに見事ですね。
コンデンサにも温度補償用を使っていて
高精度、高安定であることが推測できます。
8.フットマウス : 加藤さん
以前から何度かお目見えした足で扱うマウスです。
今回は、いくつか問題があるということで、皆さんからアドバイスを受けに来たとのこと
USB電源によるノイズや、操作の改良点などいくつかのアドバイスがなされました。
9.PICnome(ピクノーム) : 山本さん
ちょっと新しい作品で、MIDIコントローラのようなシンセサイザの働きをするユニットです。
8行8列のスイッチを押すと、行ごとにパソコンから設定された音が出るようになっており、
一定間隔で列をスキャンし、ボタンが押された行の音がでるようになっています。
制御にはPIC18F2550を使い、パソコンとはUSBで接続しています。開発にはCCSの
C言語を使い、CCS社のUSBライブラリを使っているとのことでした。
この装置をオープンソースとして提供しているとのことで、下記URLにて公開されて
います。
http://atelier.tkrworks.net/
PCを使って演奏中のところ
リズミカルなシンセサイザの音が
奏でられます。
PC側ソフトには、Max/MSPという
音響映像開発環境を使うのだそうです。
ボタンを斜めにおすと、行に割り付け
られた音が順番に一定間隔で出力
されます。
左側は頒布中の制御基板
10.USBカレンダ接続時計とUSBイルミネーション : 西村さん
USBに接続し、パソコンから時刻設定ができるようにした時計です。
下側に見えるのが製作したカレンダ時計
USBパワーなので常時パソコンと接続して使う
パソコン側の設定用プログラムも
作られたとのこと
小型イルミネーションで、電池動作する。USBでパソコンと接続して
点灯パターンを設定できる
なかなか趣のある光かたをします。
赤外線でオンオフできる機能もある
電池で連続3日間以上動作するとのこと
11.近接センサ : 大和田さん
小さな銅版をセンサとして使った近接センサです。
久しぶりにPIC16F84Aを使った作品です。
デジタルポートを使ってA/D変換機能を
実現しています。