PICクラブ 第36回情報交換会


【第36回情報交換会概要】


開催日時  2010年 10月 3日 PM1:00〜PM5:30
開催場所  川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
      7階 第3会議室

【まとめ】 

やっと涼しくなってきて過し易くなりましたが、交換会は相変わらず熱気溢れる場です。
今回は前回マイクロチップ社から皆さんにプレゼントしていただいた、PIC32MXを使った
作品がいくつか発表されました。流石に32ビットともなると高機能な作品が可能で、
あのファミコンを超小型にしたゲーム機やデルタシグマアンプなどの作品の発表があり
ました。

《スナップ》



【作品紹介】

1.マスターズ参加報告 : 後閑

・今後1年間の新製品計画
 マスターズでしか聴くことのできない最新デバイス開発の状況を紹介しました。
 アナログ機能の強化、少ピンのPIC32など数多くの新デバイスの開発計画が
 あります。

・MPLAB Xの概要
 全部をJavaで開発し直したMPLAB IDEで、Windowsだけでなく、Linux、MacOSでも
 動作する新開発環境の紹介です。

以上の説明資料はPICクラブ会員の皆様には配布いたします。

2.車両盗難防止装置 : 矢野さん

車両の盗難防止用の警報装置で、超音波センサ、振動センサ等の信号により
自動的にPHSで所有者に直接電話し、音声モニタと、電話のプッシュボタンに
よるDTMF信号でリモコン操作が可能な装置です。
バッテリで全体動作をさせるため低消費電力化に努力しています。
PIC18LF4525で全体をコントロールしています。
また耐熱設計をするため、コンデンサなど部品レベルから耐熱部品を探して
使い、さらに振動に耐えられるよう、すべての部品をしっかり固定しています。

全体構成
アルミシャーシが本体で右隅にPHS通信
モジュールが取り付けてある。
左上がリチウムイオンバッテリ
各種センサを接続した状態


内部実装状態
びっしりと実装されている。
マイクのノイズ対策とPHS通信のための
ノイズ対策に苦労されたとのこと。
0.8φのハトメを使った両面スルーホール基板
基板固定には振動対策のため「ゲルブッシュ」
を使用


耐熱部品を使いさらに振動に耐えられるよう
しっかりと固定している。
固定剤には信越化学工業のRTVゴムを使用



3.シリアル通信によるセンサネットワーク : 松元さん

RS232CにCANのトランシーバを追加して、マルチドロップ構成の長距離通信が可能な
シリアル通信ネットワークを構成しています。
CANトランシーバを使ったことでパーティライン状に接続できるので、安売りのLANハブを
改造してスター状に接続できるようにしたもの。
1セットが親となって全体の通信をコントロールし、気圧や温度などのセンサを離れた
場所において集中管理するシステムです。
MPUにはアルディーノチップ(つまりAVR)を使ってソフトウェアを簡単化しています。

右上が親機となるセット
白い箱がLANハブ改造の接続ターミナル
その他の箱は各種センサ類



副産物のRS232Cモニタ
市販のキットを使って簡単に製作したもの
RS232Cで接続し、USBでパソコンと接続
RS232Cの通信内容をPCでモニタできる

4.多機能ジョイパッド : 阿部さん

小さな箱をUSBで接続すると、マウス、ジョイパッド、キーボードの
機能を1個で操作できる。
スイッチごとに機能を割付できるので、いろいろな用途に使える。
パワーポイントのプレゼンや、ゲームなどなど応用範囲は広い。

実際に操作しているところ
小型なので手のひらの中に入る



キットとして製品販売している

潟rット・トレードワン


5.超小型デジタルオシロ : 西村さん

出張の新幹線の中で使うために作られたとのこと。本当に??


dsPIC33FJ64GP804で構成
1Mspsまでのサンプリングが可能
差動アンプでDCも測定可能
±5mVから20Vの入力
128×128ドットのカラーLCD
カーソル移動、トリガ設定
ストレージオシロとなっている
FFT表示も可能
5方向ジョイスティックでコントロール

次のステップで下記を強化するとのこと
マイクロSDカードに記憶
FFT機能のバージョンアップ


上記用バッテリ
100均製品の改造で作成とのこと



表示例
細かい表示


6.PIC32MX活用 超小型ファミコンエミュレータ : 西村さん

前回マイクロチップ社からのプレゼントで頂いたPIC32MXを使った作品
何とあのファミコンをワンチップで実現、しかもカラーグラフィックLCDの表示付き
ファミコンのCPU、描画、サウンドをワンチップですべてエミュレーション
ゲームプログラムも6種をPICのフラッシュに内蔵
開発にはパソコン上でのエミュレータを作って行ったとのこと。

表示は320×240ドットのカラーTFT LCD

すべてC言語で作成
PICをクロックアップして106MIPSで動かして
いる。とんでもない高速化だ
画像表示はPMPをDMAで使って高速化している



本当にPICとレギュレータだけしかない

サウンドは矩形波、三角波、ノイズ音の
3種類をPWMで生成しスピーカをPICから
直接駆動している



これがパソコン上のファミコンエミュレータ
の画面

これで動作確認とデバッグを行い
実機のPICにダウンロードして動作確認

この環境を使うことで短期間での開発が
できたとのこと

7.PIC32MX活用 デルタシグマアンプ : 大和田さん

こちらもプレゼント品のPIC32MXを使った作品です。
PIC内部でソフトウェアで2次のデルタシグマ変調を実行して
入力のオーディオ信号をを変調した結果をIOピンに出力して
スピーカを駆動しています。
速度が速くなった分、きれいな音質で再生できています。


スピーカも百均のお店で
手に入れたものだとか


電源も百均で入手した
ものを改造して使用
ほとんどお金をかけていません。


8.マルチタスクBASICインタプリタ : 河野さん

PIC用のBASICインタプリタですが、マルチタスクが可能になっています。
名称は「PIC Pico Basic」で現状ではPIC24専用のBASICインタプリタです。
最大8個までのタスクを登録して、キューによる待ち合わせ、タイマ遅延による
インターバル起動などができるようになっています。

BASIC本体のサイズ
 ROM:17kバイト
 RAM:6.8kバイト


詳しくは作者のホームページへ

PIC Pico Basicの実験室



マルツ製PIC24マイコンボードを使用
(MPIC24FJ64GA004)
これにUSB−シリアル変換モジュールを
付加



9.カレンダ付き電波時計 : 小野寺さん

電波時計を専用受信IC(SM9501AV)とPICで作成
月のカレンダ付きの時計となっています。
無線受信ではバーアンテナの作成とノイズに苦労されたようです。
とくにノイズは無線側のμV単位の信号と、PIC側のmV単位のノイズとの
戦いで、結局基板を再作成することになったとか。
また液晶表示器内蔵のDC/DCコンバータからのノイズも大きく、液晶表示器
の下部にはパターンを通せなかったとのこと。
このあたりのノウハウは貴重なものかも。

上側にバーアンテナが見える

液晶表示器は大型のグラフィックLCD
を使って1ヶ月分のカレンダ表示を
しています。


10.SMPS電源キット : マルツ電波さん

トランジスタ技術の最新号(10月号)と連動して開発したスイッチング電源の
実験用基板セットの紹介です。
マイクロチップのSMPSを使って2種類のDC/DCコンバータボードをサブボード
として実装し制御できるようになっています。


雑誌では、水温の温度制御
DSP機能を使った音の出力
LEDの明るさ制御
などが紹介されています。

11.ネットリモートカメラ : マルツ電波さん

このボードを携帯電話に接続しておけば、外出先から電話をかけて
携帯の映像モニタができたり、音のモニタができたりするものです。

小型でバッテリ動作



       目次ページへ戻る