【第42回情報交換会概要】
開催日時 2012年 5月19日(土) PM1:00〜PM5:30
開催場所 川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
7階 第3会議室
【まとめ】
新緑も気持ちの良い季節となり、しかも久しぶりの晴天の一日でした。
そんな中で、お出かけの方も多く、やや少ない出席者での開催でしたが、
熱心な議論が交わされました。
《スナップ》
今回よりビデオカメラが登場
解説も実物を動作させながら
よりリアルにできるようになった
カメラは矢野さんが準備して下さい
ました。ありがとうございます。
カメラ画像を見せながらの
解説はリアルでわかりやすい
【講義】
1.LCDドライバモジュールの使い方 : 後閑
PICマイコンに内蔵されている液晶表示パネルのドライバモジュールの使い方を解説
しました。
極低消費電力の機器を製作する場合には、液晶表示パネルを使うと、表示そのもの
に必要な電流を数μAから数10μA程度に納められるので、容易に極低消費電力を
実現できます。
現状では、任意の表示が可能な液晶表示パネルを個人で入手するのは難しいですが、
数桁の数値のセグメント表示パネルは容易に入手できますから、数値表示の機器は
個人でも簡単に製作できます。
マルチプレクス方式の液晶パネルを使うと、少ピンのPICマイコンでも多桁の表示が
できますので、便利です。
下記のように実際に液晶表示パネルを使った作品を紹介しました。
この解説資料は、会員の方々には配布いたしました。参考にしてください。
時計の製作例
マルチプレクスなしの4桁セグメント
表示パネルを使用
PIC16F1937の40ピンPICを使用
常時スリープでこのとき17μA
1秒ごとに26msec間動作しこの間170μA
平均で21μAという消費電流です。
ボタン電池で1年は動作する計算です。
LCメータの製作例
3マルチプレクスの4 1/2桁のセグメント表示
パネルを使用
PIC16F1936の28ピンのPICワンチップで構成
常時1.3mAで動作
006Pの9V電池で動作させていますが、使用頻度
を考慮すれば数年は持つでしょう。
【作品紹介】
1.有機ELパネルを使った時計 : 西村さん
有機ELのグラフィック表示器を使った時計の製作例です。
漢字表示もできるように、漢字フォントを作成しています。
なかなかきれいな表示です。
漢字もきれいです。
現状はリチウムイオン充電池で
動作させていますが、
次は太陽電池からの電源供給
に挑戦中とのこと
左側の基板が実験中の基板
2.赤外線によるPCリモコン : 小島さん
ビットトレードワンからの新製品の紹介です。
USBでパソコンと接続し、赤外線を受信します。
家庭用リモコンのボタン操作の赤外線を受信し、その信号ごとに
設定したキーボードやマウス操作を実行できます。
これで、パソコンを家庭用リモコンでリモコン操作することができます。
家庭用リモコンの信号を受信して学習させますので、任意のリモコンが
使用可能です。
PIC18F14K50のUSBを使用
HIDクラスで接続し
マウス、キーボード、ボリュームコントローラ
の3つの複合デバイスとして動作します。
ハード、ソフトすべて公開のオープンソースです。
設計資料はここ
3.RCサーボ信号を使った汎用I/O : 小島さん
PIC10Fコンテストに応募した作品です。
ラジコンの受信器とRCサーボの間に挿入して、制御信号を横取りし、
サーボ信号に応じてオン、オフの出力ができるユニットです。
RCサーボのパルス幅をチェックしていて、長い場合と短い場合でオンかオフの
信号を出力します。
もともとラジコン飛行機の車輪制御のサーボに付加してLEDを点灯させる用途に
開発したとのこと。
左端の小型基板が製作品です。
サーボ受信機とRCサーボの間に
挿入する構成で接続します。
これでプロポのレバーの操作で
右上のLEDがオンオフできます。
同時にサーボも動作します。
4.PICを使った電子ブロック : 松元さん
こちらもPIC10コンテストの応募作品です。応募時よりかなりバージョンアップしています。
元は市販の「電子ブロック」を利用し、各ブロックの中にPIC10を組み込んでブロックの
機能を自由にプログラムできるようにしたものです。
全体の構成です。
右側の白いラベルが付いているのが
各電子ブロックです。
フリップフロップ、タイマ、音階発生など
単機能から複雑な機能まで自由に構成
できます。
個々の電子ブロックの外観です。
下側に電源供給用の2ピンヘッダがあり
PICのI/Oピンが4面のピンに出ています。
本体の裏面です。
電源とグランドの供給のため、基板が追加
されています
電源はブロックfごとに2ピンヘッダで接続する
構成です。
PICをプログラミングする方法です。
ICプラグでPICを接続し、反対側には
PICkit3を接続してプログラミングします。
これで電子ブロックごとに機能を組み込む
ことができます。
5.エチケットセンサ : 大和田さん
こちらもPIC10コンテストの応募作品です。
臭いセンサを使って臭いのレベルに応じてカラーLEDの色を変えています。
FRISKのケースにすべてを組み込んでいます。
右端にあるのが臭いセンサ
電池にはリチウムポリマを使っています。
臭いセンサの制御とLEDの制御に
それぞれPIC10を使っています。
センサのヒーター用の電源として電解コンデンサ
を使っています。
6.音声読み上げ式電圧計と音声サイコロ : 川口さん
PICで電圧計を構成し、音声合成ICを使って値を音声で読み上げます。
音声合成ICには、秋月で発売中のものを使っています。
音声サイコロの全体構成です。
STARTボタンで乱数を生成し
その数値を音声で出力します。
音声応答のプログラミングは
数値だけでなくアクセントなども
できるとのこと
音声は女性の声です。
左側が電圧計の基板
右側がサイコロの基板です。
いずれもPICと音声合成LSIの2チップだけで
構成されています。
なかなか良くできた音声合成IC
のようです。
PICと音声合成ICとの接続は1本だけ
7.明るさセンサ装置とロジックスコープ : 矢野さん
玄関先の明るさをリモートで検知する装置で、長い配線で接続して室内で
外の明るさを検知できるようにした装置です。
長距離伝送のため、明るさを周波数パルスに変換して転送し、受信側では
周波数カウンタで周波数を計測して明るさを計測しています。
左側は屋内側で右側が屋外に置く
センサ側です。
矢野さんらしいがっちり組まれた作品です。
電源は外部のAC100Vトランスで降圧して
供給しています。
外部制御出力はフォトカプラで絶縁しています。
ロジックスコープは、16文字2行の液晶表示器で8本のデジタルピンの状態表示と
シリアル通信のデータ表示ができるようになっています。
繰り返し動作するような機器のテストには便利だとのこと。
ロジックスコープ全体の構成
右側がロジックスコープ本体
左側はデモ用に用意したユニット
ロジックスコープ動作中の表示例
上側がパラレルインターフェースで8ピンの
ロジックスコープとなる
右側のコネクタがシリアル通信用
8.赤外線リモコン : 小野寺さん
たくさんのスイッチを8ピンPICで扱った赤外線リモコンです。
1ピンで多くのスイッチが扱えるようアナログレベルでスイッチを判定しています。
同時複数押した場合の判定は無理ですが、1本の配線で多くのスイッチが
接続できるのは便利です。
表面
16個のスイッチが配置されていて、右側
には8ピンのPICとオペアンプだけという
構成です。
スイッチは抵抗によるラダーマトリクスが
構成されています。
右上に赤外線LEDがあります。
裏面です。
電源はボタン電池だけです。