【第47回情報交換会概要】
開催日時 2013年10月19日(土) PM1:00〜PM5:30
開催場所 川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
7階 第3会議室
【まとめ】
真夏の暑さの継続にも終わりが見え、心地よい季節になりました。
行楽日和ではありましたが、今回も大勢の皆さんに集まっていただけました。
《スナップ》
【講義】
1.マイコンのインターフェース回路の設計方法 :後閑
マイコン回路を設計する際に必要となるインターフェースの設計の仕方について
解説しました。今回は時間の関係で入力インターフェースについてのみ解説しました。
出力、通信関連は次回としました。
入力インターフェースでは、特にアナログ信号の入力回路を中心にお話しました。
解説資料は会員の皆様には別途配布しています。
2.最新デバイスの製作例紹介 : 後閑
最近リリースされたPIC24FJ64GCファミリを使った正弦波発振器を紹介しました。
外観です。
単純にPICとBluetoothモジュール
だけしかありません。
このPCマイコンはアナログモジュールが、これでもかというくらい内蔵されたファミリで、
特に高速で高性能なアナログモジュールが内蔵されています。
実際に内蔵されているアナログモジュールは次のようになっています。
・12ビット 10Mspsの高速パイプライン型A/Dコンバータ Max50チャネル
・16ビット分解能のΔΣ型A/Dコンバータ 2チャネル
・10ビット 1MspsのD/Aコンバータ 2組
・オペアンプ ×2組
・アナログコンパレータ ×3組
・電圧リファレンス ×3組
・コンデンサ充電時間測定モジュール(CTMU) Max50チャネル
これを高速で動かせるようにDMA(Direct Memory Access)も内蔵されています。
これらのモジュールをフル活用して図のような構成の正弦波発振器を製作しました。
内蔵D/Aコンバータで正弦波を生成し、折り返しの波形をA/Dコンバータで入力して
Bluetoothで送信します。これをタブレットで受信してグラフ表示することでオシロスコープ
として表示します。
この時の正弦波発振器としてのPIC内部のブロック構成は次のようになっています。
まず、正弦波を生成するため、タイマ3を2MHz周期で動作させ、この周期でDMAにより
メモリ内の正弦波データを順次D/Aコンバータに出力します。
これで10Hzから200kHz程度までの正弦波を出力でき、2kHz以下の場合には1000分解能
の正弦波となりますので非常にきれいな正弦波が生成できます。。
次に、オシロスコープ側は、タイマ2を4MHzの周期で動作させ、これでA/Dコンバータを
トリガします。A/D変換結果はDMAでメモリに保存します。
これを2016回繰り返して波形を取り込んでメモリに保存しています。
これが終了したら、メモリのデータをそのままBluetoothでタブレットに送信しています。
タブレットでは波形をグラフで表示してオシロスコープとして動作させています。
4Mspsですので、100kHzの正弦波でも40回のサンプリングができますので、十分正弦波
として見ることができます。
実際に表示した例が次のようjになります。
1kHzでの表示例です
この周波数では1000分解能ですから
素晴らしくきれいな正弦波となっています。
100kHzでの表示例です。
出力は20分解能、入力が40分解能ですから
やや角が目立ちますが、結構きれいな正弦波
として表示されています。
【作品紹介】
1.停電バックアップ用インバータの紹介 : 横田さん
停電時に最小限の家電を動作させられるバックアップ電源を自作して安価に作ろうということで
チャレンジした作品です。
12Vの鉛バッテリを12個直列接続して144Vをつくり、これをスイッチングしてBTL接続でAC100V
の正弦波を生成しています。
大部分秋葉原で入手できる安価な部品だけで構成できてしまうので、非常に安価にできること
が分かったとのこと。
次は、停電時に自動切り替えを実現するため、商用との同期をとることに挑戦するとのことでした。
製作したインバータ部
バッテリ部は重すぎて運べません。
詳細は発表資料
「ローコスト蓄電装置の製作」を参照してください。
2.カラーグラフィックLCDによるGPS Tracer : 笠木さん
秋月から入手したカラーグラフィックLCDを、わずか1枚のデータシートを読み解いて製作したとのこと。
PIC24EPを50MHzで動作させて世界地図を表示させると、表示スキャンが遅く、画面の書き換え
スキャンが見えてしまっています。
しかしこの速度でも「GPS Tracer」として、GPSの軌道の軌跡表示で使うと、何とか静止した状態で
見ることができました。
世界地図を表示したところ
スキャンが遅く目で追える状態
本体内部の構成
PIC24EPとLCDが直接接続
GPS Tracerとして表示したところ
この表示の場合はあまりチラつきも
気にならない
GPSの軌跡を表示する
3.シリアル通信モニタ、その他 : 松元さん
シリアルUSB変換モジュールを利用してRS232Cの通信モニタをUSB経由でパソコンでできるように
しました。しかし、DSUBコネクタ接続の場合は問題ないのですが、最近はシリアルから直接
Bluetoothで無線送信してしまうモジュールとなっていますので、モニタができないため困っている
とのこと。
右側が単純なRS232Cモニタ
左側はDSUBコネクタを追加
2チャネル構成となっている
もうひとつ、TWEーLiteというZigBeeモジュールを使って、シリアル通信の中継ができる親子基板を
製作したとのこと。無線と有線どちらでも接続可能で、
Raspbery pi + MbedのArudiono互換ボード + 専用ボード のボードで構成しています。
詳細は、発表資料「シリアル通信のいろいろ」を参照してください。
上側がMbedによるArduino互換ボード
下側が製作した専用ボード
4.スマートフォンによるTVリモコン : 深澤さん
スマートフォンをTV用リモコンとして使えるようにする、外置きの変換器です。
原理は簡単で、スマートフォンからBluetoothでコマンドを送信すると、それをこのTVリモコンが
受信してPIC16F876で処理し、今度は赤外線通信で送信します。この赤外線をTVが受信して
リモコンデータとして動作します。
Bluetoothの受信には、Runnning Electronics社のSBDBTモジュールを使っています。
小型にできたのでかわいいいケーブルケースに実装しています。
課題はスマートフォン側のアプリで、きれいなボタンが並んだ画面構成でできています。
かわいらしいケースに
実装した本体
SBDBTモジュールと
PIC16F876で構成
スマホで構成したリモコン本体
たくさんのボタンが配置されている
5.PIC32とグラフィックLCDのデモ : 斎藤さん
前回からの引き続きで、PIC32+グラフィックLCDのハードウェア構成で、マイクロチップの
VGDD(グラフィック設計支援ツール)を使って製作しています。
製作の目標はワープロをPICで作るということだそうで、今回は、漢字フォントの表示を含め
パソコンからUSBで送信される文字コード指定に合わせてメッセージを表示します。
PIC32側は、USBホストとUSBデバイスの両方で動作を確認しています。
デバイス側の例
パソコンにUSBで接続して使う
パソコン側からメッセージを送ると
内容を解釈してLCDに表示する
漢字も表示できるがフォントデータが
未完成とのこと
ホスト側の例
これをワープロ化する目標
パソコンの表示例
VC++で製作
6.Raspberry piを表示コントローラとする : 平峯さん
大目標のNCマシンの操作パネルをタッチパネルにしたい、ということでパネルの表示が
必要となる。この表示パネルをRaspberry piを利用して製作してしまおうというものです。
タッチスイッチはPIC16F1938で作り、表示をRaspberry piで作るという構成です。
まずはRaspberry piでJavaFXを動かすための開発環境を整えるのにかなり苦労された
ようです。
詳細は発表資料「PICのお供にRaspberry pi」を参照してください。
7.人間の微振動研究用ツール : 長友さん
漢方の研究で、人の肌に矩形波を加えた時の波形が、その人の病状により特徴的な
形式を示すということで、その研究をしているとのこと。
矩形波を出力する研究用ツールにPIC16F84を利用しているとのことで、その矩形波の
立ち上がり時間を極限まで短くする方法について皆さんにお尋ねでした。
しかし、いろいろな条件が噴出し、疑問が広がる方向でした。
自作の研究用ツール
PIC16F84でパルスを生成
電流アンプで高速化してパルス出力
しています
8.学園祭用射的ゲーム : 林さん
学園祭で、レーザー光を撃つピストルと、受光する的を製作し、ゲーム経過をリアルタイム
でパソコンに送信して表示するというゲームの製作内容の解説でした。
PICは使わずハードウェアロジックだけで構成されていますが、なかなか凝ったゲームと
なっていて、面白い結果が出そうでした。学園祭当日が楽しみです。
詳細は発表資料「ごるご13」を参照してください。