【概要】
PIC16F630/676は、14ピンというちょっと特異なPICのパッケージですが、
ミッドレンジシリーズのひとつで、8ピンのPICでは少し入出力ピンが不足するが、
18ピンや28ピンでは多すぎるというような用途に作成されたPICです。
PIC16F630は、ディジタル入出力専用で、PIC16F676はアナログ信号も扱える
タイプです。小さいですが、10ビットのA/D変換モジュールを内蔵していますので
結構使えると思います。
PIC16F630とPIC16F676の差異は下表のようになっていて、A/D変換モジュール
が異なるだけです。
項 目 PIC16F630 PIC16F676 単位 プログラムメモリ 1 1 kワード データメモリ 64 64 バイト データEEPROM 128 128 バイト 入出力ピン 12 12 本 コンパレータ 1 1 チャネル 10ビット
A/D変換モジュールなし 8 チャネル タイマ8/16ビット 1/1 1/1 個
【特徴】
ミッドレンジに相当するPIC16F630/676の特徴は下記のようなところです。
(1) 基本は14ビットコアのミッドレンジPICと同じ
下記のような点は他のミッドレンジPICと同じになっています。
・14ビット長の命令、命令数35個
・クロックは最高20MHzまで
・SLEEPモードがあって省電力化が可能
・異常監視機能 ウォッチドッグタイマ、 ブラウンアウトリセット
・割込みと、8レベルのスタック
(2) 低い電源電圧で動作する
PIC16LFシリーズは用意されていないのですが、PIC16Fシリーズでも、十分
低い電圧で動作します。
特にクロックが10MHz以下であれば、3Vから、4MHz以下であれば2Vから
動作します。
ただし、A/D変換モジュールを使う場合には、分解能の問題から2.5V以上
となっていますので注意が必要です。
クロック PIC16F630/676
(A/Dを使わない)PIC16F676
(A/Dを使う)〜 4MHz 2.0 〜 5.5V 2.5 〜 5.5V 〜 10MHz 3.0 〜 5.5V 〜 20MHz 4.5 〜 5.5V
(3) 消費電力が少ない
どれくらい少ないかというと下表のようになります。
周囲温度25℃の時のTyp値でWDTはOffの状態
項 目 クロック PIC16F630/676 単位 SLEEPモード -- 0.7Max (Vdd=2V)
1.0Max (Vdd=4V)μA LPモード 32kHz 9 (Vdd=2V)
35 (Vdd=5V)μA XPモード 1MHz 110 (Vdd=2V)
330 (Vdd=5V)μA INTOSCモード 4MHz 340 (Vdd=2V)
800 (vdd=5V)μA HSモード 20MHz 2.1 (Vdd=4.5V)
2.4 (Vdd=5.0V)mA
また内蔵モジュールの低消費電力化も計られました。
タイマ1やウォッチドッグタイマの消費電力が少なくなっています
(4) 入出力ピンが6ピンで複合ピンになっている
入出力ピンがポートAとポートCですがいずれも6ピンしかありません。
また下記のピンが汎用の入出力ピンとしても使えます。
・MCLRピン → RA3ピン入力のみ
・OSC1ピン → RA5ピンとして入出力
・OSC2ピン → RA4ピンとして入出力
(5) 内蔵クロックの用意
内蔵オシレータとして4MHzの内蔵クロックが用意された。
4MHzのクロックの精度は±1%となっています。
(6) フラッシュの書き換え回数保証
プログラムメモリ 10万回 40年以上保持
データメモリ 100万回 40年以上保持
(7) クロック回路の兼用
INTOSCモードの時には、クロック発振回路をタイマ1用のクロック発振
回路として転用可能。