CTMUを使った湿度センサの実験


【概要】

CTMU(Charge Time Mesurement Unit)というタッチスイッチ用として内蔵された
モジュールを使って、容量変化型の湿度センサによる湿度計の実験をしてみました。
使ったデバイスは「PIC18F24J11」です。

容量変化型湿度センサの概要】

使った湿度センサは、HUMIREL社の「HS1101」で、購入は秋月電子です。
外観は、下図のような形で、側面から空気が出入りするようになっています。



 このセンサは、端子間の容量が湿度により変化するようになっていて
データシートによれば下図のように164pF〜201pF程度の範囲となっています。
 ここではこの容量をCTMUモジュールを使って計測することで湿度に変換します。

  (データシートより 10kHz@25℃)



【CTMUモジュールの概要】

CTMUという内蔵モジュールの内部構成は、下図のようになっています。もともと
タッチスイッチ用のモジュールとして用意されたもので、A/Dコンバータと連動して
動作するようになっています。
 CTMUは点線部だけの構成で、A/Dコンバータモジュールと協調して動作する
ようになっています。
 CTMU内部は、一定の電流を供給する定電流回路と、その電流をオンオフする
充電用トランジスタ(充電TR)、その先に接続されている容量成分の電荷を放電させる
ための放電トランジスタ(放電TR)がおもな構成部品となっています。




 CTMUでタッチスイッチの容量を検出するときの動作は次のようになります。
(1) CTMUの放電TRを一定時間オンにし、接続されたスイッチパッドの容量CSW、
   A/DコンバータのホールドキャパシタCHOLD、ピンなどの容量CINをすべて
   並列にした容量に残っている電荷を完全に放電させます。

(2) その後、充電TRを一定時間オンにして充電します。
  一定電流で容量を充電しますから、直線的に電圧が上昇していきます。
  一定時間後の電圧は、容量に反比例して充電電圧が変わります。

(3) この充電後の電圧をA/Dコンバータで読み込みます。

 充電時間、定電流値は正確に決められますし、電圧も10ビット分解能で正確に
計測できます。さらに定電流値もx1(0.55μA)、x10(5.5μA)、x100(55μA)と3段階で
切り替えられますし、充電時間はプログラムで任意に設定できますから、
かなり広範囲の容量を測定することが可能になります。

【コンデンサメータの製作】 

このCTMUを使ってコンデンサ容量を計測できるコンデンサメータを作ってみました。
外観は下図のようになります。


コンデンサメータの外観
左下のICソケットに測定する
コンデンサをセットする
操作はタッチスイッチとなっている

容量は高精度コンデンサとの比較で
求めている

【コンデンサ容量計の構成】

このコンデンサ容量計の全体構成は下図のようになっていて、PIC18F24J11を
使っています。ポートAをすべてアナログ入力としてCTMUモジュールへの入力
としています。
 RA1ポートにコンデンサ容量の基準となる15000pF 1%誤差という高精度の
コンデンサを接続し、これからコンデンサ容量を計算しています。
したがって、CTMUはRA0に接続された測定コンデンサの充電電圧さえ計測
できれば、15000pFとの比較で容量が求められますので、定電流値の較正も
充電時間の較正も必要がなくなります。



液晶表示器にデジタル値で容量を表示します。
下記の3レンジで下記容量をpFの単位で測定可能です。

 ・レンジ1:10pF 〜 1000pF(0.001μF)
 ・レンジ2:0.001μF 〜 0.01μF
 ・レンジ3:0.01μF 〜 0.1μF

レンジ切り替えやゼロ補正指示をタッチスイッチで行います。

【湿度センサの測定】

 上記のコンデンサメータで湿度センサの特性を簡単に計測してみました。
結果は、
       湿度    容量値
       30%  → 216pF
       40%  → 222pF
       50%  → 230pF
       90%  → 247pF

これから推定した湿度と容量のグラフが下図となります。
大体直線的な比例関係にあると見てよいかと思います。
 容量値がデータシートよりかなり高くなっています。この要因は定かでは
ないですが、測定方法が交流ではなく、DCで行っているからではないかと
思われます。







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