ケース加工法(穴あけ)ノウハウ

【穴あけ加工】

電子工作でケースを加工する際、最も良く使うのがこの穴あけ加工です。
市販のケースを使って、それに何を取り付ける時でも必ず穴が必要です。
従って、電子工作が上手に出来るようにするには、はんだ付けと、この
穴あけに腕を磨くことが必須となります。

【穴あけに使う道具】

穴あけ加工が上手く出来る様にするには、腕も大事ですが、まずは道具
です。工作はやはり道具次第ということになります。
穴あけに使う道具には下記の様なものがあります。それぞれ使い道が
あり、使い分けることで上手な工作が出来ます。

名  称

外  観

使 い 道

電動ドリル

穴あけには
必須の道具
手回しドリル
もあるが是非
電動にしたい
ドリル刃

セットで揃える
と便利
1.5mm〜6.5mm
バリ取り

太いドリル刃
で古いもの
を流用。
穴のバリを取る
シャーシ
 リーマ

穴を大きく
するのに
使う
最大15mm
程度の穴
シャーシ
  パンチ
 真空管の工作には良く使う 大きな丸穴
をあけるのに
使う
サイズが決
まっている
ポンチ

穴あけの中心
に印を付ける
ハンドニブラ

主に四角の
任意の穴あけ
に便利
ヤスリ

平、丸、平丸
の3種類で
金属用
ジグソ

自在曲線用
大きなサイズ
の穴あけに
便利
カッター

アクリルや
プラスチック
の加工用
大型で丈夫
なもの
小型ノギス

穴の寸法や
軸太さの
測定用
糸鋸

自在の穴が
あけられる
タップ

自在にネジ
が切れる
ので外観
がきれい
に出来る

【穴あけ工作方法】

穴あけは対象ケースの材料によってあけ方のコツが異なります。

(1) センターポンチによる印付け

穴をあける中心にポンチで印を付けます。こうすることで、穴の
正確な位置が出せるのと、ドリルの刃の先端が滑るのを防ぐ
ことが出来ます。ポンチを打つ時には、下敷きに敷くものは
柔らかいもので無く硬いものの方が良い。それは柔らかいと
印を付ける周り全体が凹んでしまうためです。

またプリント基板などの取り付けは、「合わせ工事」で現物の
穴に合わせて穴あけの位置にポンチで印を付けます。
この時のコツはポンチを垂直に真っ直ぐ立てて印を付ける
ことです。斜めにすると穴の位置がずれてしまいます。

(2) 6Φ以下の丸穴あけ

これには単純にドリルを使います。取り付けるものの寸法より
0.2mm〜0.5mm程度大き目のドリル刃で穴あけをします。
電子工作で良く使う穴サイズは下記のように大部分が、3.2Φ
と6.5Φの2種類です。
6.5Φの穴あけの前に、3.2Φで下穴をあけておくときれいに
穴があけられます。
穴をあけた後は、バリ取りをしてきれいに仕上げます。バリを
取るには、3.2Φの穴の時は、バリ取り用に太いドリル刃を
用意しこれでこそぎ取る用にしてバリを取ります。
6Φの穴のバリは細めの丸ヤスリで削り取ります。この時
前面のパネルに傷を付けないよう、出来るだけ裏側からヤスリ
をかけるようにします。

部品種別

必要サイズ

ドリル刃サイズ

取り付けネジ

M3

3.2Φ

スイッチ類

M6

6.5Φ

ボリューム類

M6

6.5Φ

発光ダイオード

M6

6.5Φ



 ドリルの刃は真っ直ぐ立て
 材料はしっかり固定する
 アルミ材は穴があく瞬間に
 大きな力が加わるので
 最後は慎重に穴をあける

(3) 6Φより大きい丸穴あけ

6Φより大きい丸穴をあけるには、6Φの穴をドリルであけた
あと、リーマを使って穴を広げます。この時のコツは余り急いで
広げようとして力を入れすぎない様にすることです。力が入り
過ぎると、広げた穴が円形にならずに、凸凹の穴になって
しまいます。焦ってはダメです。

リーマで広げたあとは、ヤスリを
使ってバリ取りと仕上げをしま
す。また楕円など、円形で無い穴
が必要な時にもヤスリで広げ
て作ります。



大きな穴が必要なものには下記のようなものがあります。

部品種別

必要サイズ

穴サイズ

ACコード用

10x12

リーマとヤスリ

RCAジャック

M6、M8

6.5Φ、9Φ

BNCコネクタ

M9

9.5Φ

ボリューム類

M7

8Φ

ヒューズブラケット

M12

13Φ

(4) タップたて

タップたてとは何かというと、ネジ切りです。つまり、アクリル
などの厚手の板の時、ナットを使わず直接板にネジを切って
ネジで固定できるようにするとき使います。
これに使う道具がタップで、ネジの太さに合わせて幾つかの
タップを取り替えて使える様になっています。
タップを立てるには、まず下穴をあけることが必要です。
下穴の寸法はネジによって下記のようにすると丁度良い。
   M2ネジ   1.5Φ      
   M3ネジ   2.5Φ
   M5ネジ   4.0Φ
この下穴をあけたら、タップをまわしながらネジを切って行き
ますが、無理にまわすとネジがつぶれてしまいますので、
きつくなったら、一旦逆にまわしてタップを取り出し、再度
切り直しをします。これを何度が繰り返すことで楽に、きれい
にネジを切ることが出来ます。

(5) 大きな丸穴や角穴のあけかた

20Φ以上の大きな丸穴や角穴のあけ方は、まず、3.2Φの
ドリルで穴を連続してあける穴の内側にあけます。
そして小穴をあけたらそれらの間ををニッパの先で切り取り
大きな穴をあけます。穴があいたらあとはヤスリで仕上げます。
従って、小穴を連続してあける時には、あけたい穴より1mm
程度内側になるようにして穴を連続してあけます。

ドリルで小穴を連続してあけ
ニッパでその間を切断して
つなぎ中を切り落とす。
その後はヤスリで仕上げて
きれいにする。
保護シートは最後まで付けた
ままにする。

(6) ハンドニブラによる大きな穴のあけ方

ハンドニブラは丸穴、角穴いずれにも使用でき、簡単に大きな
穴をあけられます。使い方はまず、先端が入る様に下穴を
あけます。この下穴は6.5Φ以上の穴が必要なので、6.5Φ
の穴をドリルであけたあとヤスリで広げてニブラの先端が入る
様にします。その後はニブラで切り取って行くので自由な形の
穴があけられます。ニブラで大体の穴をあけたら、後はヤスリ
で仕上げの穴をあけます。
これであける穴には下記のようなものがあります。

部品種別

必要サイズ

穴サイズ

セグメントLED

12x40など角穴

ハンドニブラ
ドリルとヤスリ

メータ

40x60など角穴
80Φ丸穴

ハンドニブラ
ドリルとヤスリ

ディジスイッチ

角穴

ハンドニブラ
ドリルとヤスリ

コネクタ類

角穴

ハンドニブラ
ドリルとヤスリ

ネジ端子類

角穴

ドリルとヤスリ

液晶表示器

角穴

ハンドニブラ
ドリルとヤスリ

(7) 糸鋸による穴あけ

糸鋸は原始的な道具ですが、穴をあけるには便利な道具です。
特に、複雑な形の穴をあけたい時には重宝します。
使い方は、まず下穴を3.2Φのドリルであけておきますが、
穴のコーナー毎にこの下穴が必要です。鋸刃には幅がある
ので、向きを変える所には下穴が必要となります。
その後鋸刃を下穴に通してから、鋸刃を糸鋸本体にきつく固定
します。そして順次切って行きます。しかし、糸鋸の弓状の枠が
あり、これが邪魔になるので、ある程度の大きさ以下のものに
しか穴をあけることはできませんので注意が必要です。

(8) ジグソによる大きな穴あけ
  最近は電動鋸であるジグソーも安価に手に入れることが出来る
  ようになりました。機会があったら是非入手しておきたい道具です。
  特に自在曲線対応のジグソーを使うと、鋸刃が細いので比較的
  小さな穴も容易にあけられます。
  ジグソを使う前に、刃を通すための下穴をあける必要があります。
  4Φから6Φ程度の丸穴をドリルであければOKです。
  ジグソーを使う時には、ジグソー側を作業台に固定し、材料側を
  動かして切断する方法の方が作業しやすいと思います。
  


次のページへ        目次へ