【WrokspaceとProject】
PICのプログラムをMPLABを使って始めるとき、まず最初にしなければならない
ことが「プロジェクト(Project)」の生成です。
このプロジェクトとは、プログラムをアセンブル、コンパイルするときに、自動的
に生成される多くの種類のファイル類を統括管理するための枠組みで、
このプロジェクトを開くと、関連するファイルが直ぐ指定して開けるようになります。
MPLAB Ver5.70までは、開発するプログラムは1つのプロジェクトで、1対1の
関係だったのですが、MPLAB Ver6.xx からはこれが拡張されてひとつのプログラム
を複数のプロジェクトで開発することが可能になりました。
このために新たに導入された概念が「Workspace」で、Projectとの関係は下記の
ようになります。
Workspace
|__ Project A
|__ Project B
|__ Project C
つまりMPLABとしてはWorkspaceは一度には1つしか扱うことは出来ませんが、
Projectは複数個を一緒に扱うことが出来ます。
しかし、私たちが使う時には、大部分1個のプロジェクトで十分ですから、
余りこれを意識することは必要ないでしょう。
MPLABのデフォルトの設定も1個Wrokspaceには、1個のProjectしか無いという、
1対1の関係として設定されています。
【プロジェクト生成手順】 (Project Wizard)
実際にプロジェクトを作成する手順です。プログラム開発を開始するときには
かならずこれを最初に行う必要があります。
Ver6.xxから、このプロジェクトを作成するため、「Project Wizard」が追加されました。
これを使えば、簡単にプロジェクトを生成することができます。
プロジェクト作成手順は下記となります。
(1) Project Wizardの起動
Project → Project Wizard を指定すると、下図のWelcomeダイアログが表示され
ます。ここは単に次へとします。
(2) PICデバイス選択
次に表示されるダイアログは、下図のPICデバイスの選択です。選択欄の下矢印を押すと
表示されるPICの種類の一覧表から、これから使うPICを選択して次へとします。
(3) 言語の選択
次は、プログラミング言語の指定ダイアログですが、ここでは下図のようにデフォルトで
アセンブラが表示されますので、アセンブラを使うときは、そのまま次へとします。
もしアセンブラが表示されていないときは、「Location of Selected Tool」の欄のBrowseボタン
を押して、mpasmwin.exeのあるディレクトリを指定します。
さらに他社の言語を使うときで、すでにそのコンパイラがインストールされているときは、
「Show all installed toolsuites」にチェックを入れると、「Active Toolsuites」の欄の選択肢に
追加されます。
(4) プロジェクト名の指定
これで次へとするといよいよ下図のように、プロジェクト名と格納ディレクトリの指定入力と
なります。
ここでは適当なプロジェクト名とディレクトリを指定して下さい。プロジェクト名とディレクトリ名
の名前が異なっていても構いません。(Ver5.70までは同じである必要がありました。)
無いディレクトリを指定すると、自動的にディレクトリを作成しても良いかと確認されますので、
ここでOKとすれば自動的にディレクトリが作成されます。これもVER5.70までは、あらかじめ
ディレクトリを作成しておく必要がありましたが、その必要は無くなりました。
(5) ソースファイルのプロジェクトへの登録
次にソースファイルのプロジェクトの登録を行うため、下図のダイアログが表示されますが、
まだソースファイルはありませんから、これは何もしないで次へとします。
もしソースファイルがすでにある場合には、それをディレクトリから選択してAddボタンを押します。
(6) 完了
上図で次へとするとプロジェクト作成作業は完了で、Summaryダイアログとして、これまでの
設定内容が表示されますので、確認して完了とします。
修正がある場合には、戻るのボタンでいつでも戻れます。
ここまでで、プロジェクトが作成され、下図のような作業画面となり、Project Windowに状態が
表示されます。下記はソースファイルを登録した場合です。
【Wizardを使わない場合】
(1) WrokspaceとProjectの関係の初期設定
まず、WorkspaceとProjectを1対1の関係で開発することを設定しておきます。
通常はデフォルトでそうなっていますので省略可能です。
Configure → Settings → Projects タブ で下記ダイアログが開きますので、
ここで、全ての項目にチェックが入っていることを確認します。特に最後の行の
Use one-to-one project-workspcae model の行が1対1の開発であるという
指定になります。チェックを確認してOKとします。
これ以外のタブの設定項目はデフォルトのままで大丈夫でしょう。
(2) PICのデバイス指定
実際にこれから開発するPICの種別を指定します。
Configure → Select Device で下記ダイアログが開きますので、この中の
Device欄の▼を押して開く一覧表から使うデバイスを選択します。
ここではPIC16F876を指定しています。
その下の欄には、このデバイスの時に使える機能とオプション機器が表示
されます。 緑丸が使えて赤丸は未対応ということになります。
これを確認してOKとします。
(3) 新規プロジェクトの生成
これでプロジェクトを生成する準備ができました。プロジェクトの生成に進む
前に、プロジェクトを格納するフォルダを作っておきます。
通常のWindowsのエクスプローラで適当な場所にフォルダを作っておきます。
例題では、 D:\MPLAB IDE\Projects\sample1 という2階層のフォルダとし
ました。
次にMPLABに戻って、Project → New とすると下図のダイアログが開きま
すので、 ここでプロジェクト名と上記で作成したフォルダをBrowseで開いて
指定します。
例のように、これまでのMPLABではフォルダ名とプロジェクト名は同じでなけ
ればならないという条件がありましたが、Ver6.xxではこの制限が無くなりました。
さらにプロジェクト名に8文字以上の長さの名前を使うことも出来るようになり
ました。 ただし日本語のファイル名は未対応のようです。
上記でプロジェクト名を入力してOKとすればプロジェクトが生成されます。
プロジェクトが生成されると下図のように、「Project Pane」と呼ばれる窓に
現在のプロジェクト関連情報が一覧で表示されます。