抵抗器(レジスタ)


【抵抗】

「抵抗」とはその名前の通り、電気の流れを邪魔する働きをします。
この邪魔する大きさを「電気抵抗」といいます。

  電気抵抗=抵抗の両端の「電圧」÷流れる「電流」
           (単位はΩ(オーム))


【回路図記号】

回路図記号

略号

名称

機  能 

抵抗 電圧、電流の制御
用途によって多種類あり




【外観】

 カーボン抵抗器
 1/8W

 1/4W

 1/2W
 

 
 1/4W金属皮膜1%

 
1W酸化金属皮膜

セメント抵抗
10W、7W、3Wタイプ

電力容量により大きさ
が変わる。


集合抵抗
ディジタルIC回路
で良く使われる
中身は色々な種類
の結線がある。



【抵抗の種類】

 数多くの種類の抵抗が用意されています。それぞれに最適な
使い方があり、我々の工作の時にも幾つかの種類を使い分ける
必要があります。
下表は我々の工作で良く使う抵抗器の種類です。その外にも
多種類ありますが、この表以外のものは特殊用途ということに
なります。

               (温度係数値 更新 最新のデータに更新しました。2002/3/9)

抵抗種類

特 徴

使い方

カーボン皮膜抵抗器 一般用で、安価なので、最もよく使われる
抵抗範囲:1.0Ω〜3.3MΩ
電力範囲:1/8W,1/4W,1/2W
公称誤差:±5%
温度係数:±100〜±200ppm/℃
高精度、大電力以外でしたら大抵のところで使えます
金属皮膜抵抗器 高精度(0.1%〜0.5%)、温度特性も良い
抵抗範囲:20Ω〜2MΩ
電力範囲:1/8W,1/4W,1/2W
公称誤差:±0.5%,1%,2%
温度係数:±10〜±200ppm/℃
アナログ回路などで高精度を求めるときに使います
酸化金属皮膜抵抗器 熱に強いので大電力用
抵抗範囲:10Ω〜100kΩ
電力範囲:0.5W,1W,2W,3W
公称誤差:±2%、5%
温度係数:±200〜±500ppm/℃
電源などの電流が大きい時に大電力用として使います
巻線抵抗器
(精密用)
高安定
抵抗範囲:0.1Ω〜200kΩ
電力範囲:1/8W〜2W
公称誤差:±0,.1%,1%
温度係数:±3〜±30
計測器に使われる
セメント抵抗器
ホーロー抵抗
(巻線抵抗器)
大電力用です、耐電力と抵抗値が数字で印刷されている
抵抗範囲:0.01Ω〜400kΩ
公称誤差:±5%
電力範囲:2W〜100W
電力の大きなものが必要なときに使います
集合抵抗器 抵抗器をいくつか(4〜10個くらい)まとめてICのような形にしたもの ディジタル回路など、同様な回路に多くの抵抗器が 必要な場合、用いられる


【各種特性と使い方】

抵抗は理想的には常に一定の値を保持していて欲しいのですが、実際には
色々な条件で変化したり、使い方に注意が必要なものがあります。

(1)
定格電力
  抵抗に電流が流れると必ずそこで熱に変化します。その熱の許容範囲が
  定格電力なのですが、普通使うときには、
定格電力の1/2以下で使います。

(2)
抵抗温度係数
  抵抗値は温度により変化します。 どれぐらい変わるかというと、300ppm/℃
  の抵抗で、温度が20℃上がると、抵抗は0.6%大きくなってしまいます。
  従って精密アンプなどを作るときにはこのあたりを計算に入れる必要が
  あります。

(3)
周波数特性
  抵抗は周波数が高いところで使うと、構造上、コイルやコンデンサと同じ要素
  が含まれて来てしまい純粋な抵抗ではなくなってしまいます。
  普通のカーボン抵抗なら数10MHzまでは気にしなくても大丈夫です。
  特に巻線抵抗は、構造がコイルそのものですから高周波には使えません。

(4)
熱による劣化
  特に大きな電流が流れるところに使う抵抗は経年変化が現れて来るので、
  十分に余裕を持った使い方が必要です。

(5)
雑音特性
  抵抗は本質的に熱雑音を発生します。オーディオで特に低雑音が必要な
  時などには、特別に低雑音用の特殊抵抗が使われますが、一般には
  金属皮膜抵抗器が良い特性を持っています。
  

【抵抗値は?】

 抵抗器に用途による種類があることが分かりましたが、今度は
抵抗値にはどんなものがあるのでしょうか? 上表では非常に広い
範囲の抵抗値となっていますが、この間のどんな値でも、というと
無限の種類となってしまいます。
そこで、JISで値の標準値が決められています。これを「E系列」といい、
1,10,100,1K,10K,・・・の各数値の間を何等分するかによって「E3、E6、
E12、E24,・・・・と呼ばれています。
一般に使われているのは
   許容差 ±5% -----> E24系列
   許容差 ±1% -----> E96系列   です。
例えば「E24系列」でとりうる抵抗値は下記の数値となります。

 【E24系列】 下記数値 x10〜10の6乗
   1.0 1.1 1.2 1.3 1.5 1.6 1.8 2.0 2.2
   2.4 2.7 3.0 3.3 3.6 3.9 4.3 4.7 5.1
   5.6 6.2 6.8 7.5 8.2 9.1

この値を見ると非常に中途半端な値なのですが、24等分された値
なので、実際に設計する時には結構丁度適当な値が見つかります。

単位の呼び方
  通常良く使う抵抗の単位は下記となります。

     mΩ   ミリオーム  1/1000
      Ω   オーム    1/1
     kΩ   キロオーム  1000
     MΩ   メガオーム  1000000


【カラーコード】

 抵抗には、それぞれ電気抵抗の大きさ(抵抗値)がありますが、
最近の抵抗器は非常に小型になったため、数字を直接書けないので、
色のついた4本の線で、抵抗の値、誤差を表しています。
これをカラーコードと呼びます。
最もよく使われるカーボン皮膜抵抗器もカラーコードを使っている
ので、これはどうしても覚える必要があります。この4本が表している
数をまとめてみました。
どちらが初めかを見分けるには、印刷が端の方に寄っている方が
最初の線です。

  カラーコード表

┏━┯━━━━┯━━━━┯━━━━━━━━┯━━━━━━━━━┓
┃色│第1色帯│第2色帯│第3色帯(乗数)│第4色帯(許容差)┃
┠─┼────┼────┼────────┼─────────┨
┃茶│ 1  │ 1  │ 10の1乗  │   ±1%   ┃
┃赤│ 2  │ 2  │ 10の2乗  │   ±2%   ┃
┃橙│ 3  │ 3  │ 10の3乗  │         ┃
┃黄│ 4  │ 4  │ 10の4乗  │         ┃
┃緑│ 5  │ 5  │ 10の5乗  │  ±0.5%  ┃
┃青│ 6  │ 6  │ 10の6乗  │  ±0.25% ┃
┃紫│ 7  │ 7  │ 10の7乗  │  ±0.1%  ┃
┃灰│ 8  │ 8  │ 10の8乗  │         ┃
┃白│ 9  │ 9  │ 10の9乗  │         ┃
┃黒│ 0  │ 0  │ 10の0乗  │         ┃
┠─┼────┼────┤        │         ┃
┃金│    │    │ 10の−1乗 │   ±5%   ┃
┃銀│    │    │ 10の−2乗 │   ±10%  ┃
┃無│    │    │        │   ±20%  ┃
┗━┷━━━━┷━━━━┷━━━━━━━━┷━━━━━━━━━┛

では例としてカラーコードが第1色帯から順に 茶 黒 赤 金 だったとしたら
抵抗値はいくつになるでしょうか?

 [第1色帯の色(10の位)第2色帯の色(1の位)] × 10の[第3色帯の色]乗 (Ω)
    茶 … 1 黒 … 0 赤 … 2 金 … ±5%
    10 × 10^2 = 1000(Ω) = 1(KΩ)

さらに高精度の抵抗ではE96系列を使うため、有効数値が3桁となります。
そこで、これをカラーコードで表現するために、カラー線を5本使っています。
このときははじめの3本をそのまま数値とし、 4番目で、乗数をかけてやり、
5本めが誤差という見方をします。


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