【トランジスタ】
トランジスタは半導体の中でも最も良く使われてきた基本的な部品で、
半導体で増幅作用を始めて発見したことに始まります。
トランジスタには非常に多くの種類があります。
用途や特性により数え切れないほどの種類が作られています。
【トランジスタの種類】
非常に多くの種類がありますが、基本的な分類をすると下記のように
なります。
我々が工作に使う際選択に困るのがこのトランジスタでしょう。
私が工作の時、よく使う代表的なトランジスタ名を紹介しておきます。
比較的どこでも入手可能なものを使っています。
(1)トランジスタ
接合型のトランジスタで、「電流」を増幅する働きがあります。
(a)NPNトランジスタ
接合の構成による種類で、プラス電源で動作します。
2SC××× :高周波用(低周波用にも使える)
2SD××× :低周波用
(b)PNPトランジスタ
接合の構成による種類で、マイナス電源で動作します。
2SA××× :高周波用(低周波用にも使える)
2SB××× :低周波用
(2)電界効果トランジスタ(FET)
昔の真空管に似た原理で、入力の電圧で出力の電流を制御する
特性を持っています。
(a)接合型FET
入力ゲートが半導体の接合で構成されているFETです。
トランジスタに比べてはるかに少ない入力電流で動作します。
(b)MOS型FET
入力ゲートが酸化シリコン薄膜で絶縁されている構成のFETで
非常に高い入力インピーダンス(電流が流れない)を持っている
ことが特徴です。
《FETで私が良く使うもの》
2SK30 :低周波用のアンプ、可変抵抗素子
2SK439 :高周波増幅用(丈夫)
2SK192 :高周波増幅用
2SK241 : 〃
3SK59 :高周波増幅、可変増幅用
【回路図記号】
前項で分類した種類の各トランジスタの回路図記号は下図の様に
なっています。それぞれ使い分けられています。
回路図記号
略号
名 称
機 能
TR
NPNトランジスタ 増幅、スイッチング用
TR
PNPトランジスタ 〃
FET
電界効果トランジスタ 高入力インピーダンス
増幅、スイッチング用
FET
〃 〃
MOSFET
〃 〃
〃
〃 〃
【小信号用トランジスタ】
比較的小さな(300mA以下)の電流を扱うトランジスタです。
形に名前がついており、左から
SST TO-92 TO-18
端子は底から見て下図のようになります。
《私が良く使うもの》私が日頃使っているトランジスタを特性で区分すると下図の様に
なります。
この中から適当な目的に合うトランジスタを選んで使います。
トランジスタを購入するときには、ペアトランジスタ(NPNとPNPの
特性の合ったものを一緒に扱う)で購入すると使い易いです。
下図はペアトランジスタ同士を基本に選んでいます。
【大電流用トランジスタ】
大きな数Aという電流を扱うトランジスタです。もっと大きな電流を
扱うものもありますが、アマチュア工作ではまず使うことは無いので
省略します。
形の名前は
TO-92 TO-220 TO-3
端子は底から見て下図のようになります。
《私が良く使うもの》私が日頃使っているトランジスタを特性で区分すると下図の様に
なります。
この中から適当な目的に合うトランジスタを選んで使います。
大型のトランジスタの取りつけ方法は下記写真の様にします。
TO−3型の時には、放熱板との間に熱伝導性絶縁シートを間に
はさみ、ネジには絶縁ブッシュを挿入してトランジスタ本体を完全に
周りから絶縁して取りつけます。
TO−3のピンの穴が
あいた絶縁シートが
市販されています。
TO−220型の時には、絶縁しなくても良い場合が多いのですが、
絶縁するときにはやはり、絶縁シートを挿入して、ネジはプラスチック
ネジを使います。
TO-220用も絶縁シートとして
加工済みのものが市販
されています。
【トランジスタの規格表の見方】
トランジスタの規格表は下表のようになっています。
《2SC1815の規格表》
この規格表から、下記のようなことを読み取ります。
・このトランジスタはVceoの最大電圧が50Vだから、余裕をみて25V以下で使う。
・このトランジスタは最大150mAまで流せるが、400mWの損失までだから
10Vで使ったとすると 400/10=40 で 40mAまでで抑えておく必要がある。
・電流増幅率hfeは通常は100ぐらい、選別でGRを選べば200は確保できる
・完全にONしたときのコレクタ電圧は最大でも 0.25V以下に出来る。
・増幅周波数帯域は fTが80MHzだから、80/hfeで、大体1MHzくらいまで。