パソコンのシリアルインターフェースの規格


RS232Cのハードウェア規格】 (出典 インターフェース1992年5月号)

 一般にPC/AT互換のパーソナルコンピュータに設けられているシリアル
インターフェースは、RS232Cと呼ばれていますが、これは古くアメリカの
電子工業会(EIA)が制定したもので、正式には、EIA-232-D/Eとして規格
が発行されています。
このRS232Cの電気的な仕様は下表となっています。

項  目 規 格
ドライバ 最大出力電圧 ±25V
最小出力電圧 ±5〜15V
(負荷3〜7kΩ)
短絡時の最大出力電流 500mA
スルーレート 最大30V/μsec
レシーバ 入力抵抗 3〜7kΩ
入力スレッショルド ±3V
入力電圧 最大±25V

ここで実際に通信する場合の信号の電圧レベルの規格は下記となってい
ます。この表から分かるように、15m程度の距離まで信号が届くように、
信号の電圧レベルがロジックICで使う5Vより高く、しかもプラスマイナスの
2値の電圧となっています。

項 目 スペース マーク
出力信号 0 (On) 1 (Off)
出力電圧 +5〜+15V −5〜−15V
入力条件  +3V以上 −3V以下

【実用限界】

このRS232Cの規格の基本は最大通信速度 20kbps 最大通信距離20m
となっていますが、通信速度を遅くすれば通信距離を長くすることができ、
実用的な限界はおよそ下記のようになります。
しかしこの距離は線材の太さや線間の容量成分によってかなり異なります
ので長期間の実運用使用では避けた方が良いでしょう。。

通信速度
 (bps)
シールド線
 (m)
シールド無し
 (m)
110
300
1200
2400
4800
9600
1500
1500
1000
300
300
75
1000
1000
1000
150
75
75

  線材 AWG22(0.65φ)
  容量 1500pF/10m


【コネクタと信号種類】

このシリアル通信のインターフェースは標準化されており、ほとんどの
パソコンやモデムがこの規格に従っていますので、同じように接続する
ことができます。
この接続には「25ピンDSUBコネクタ」か「9ピンミニDSUBコネクタ
と呼ばれるコネクタが一般的に使われており、それを前提に説明します。
コネクタのピン番号と信号は下表となります。
25ピン
DSUB
ミニDSUB
コネクタ
 信 号 名 称 信 号 線 の 意 味
なし FG(Frame Ground) 保安用のグランドでシールド線の
シールドや装置のケースに接続され
ます。
SD(Send Data)
TxD(Transmit Data)
PC側からデータを送るためのライン
RD(Receive Data)
RxD(Receive Data)
PCがデータを受信するためのライン
RS(Request to Send)
RTS(Request To Send)
PC側が送信を開始するときに出力する
信号線で、PC側のフロー制御
に使います。
CS(Clear to Send)
CTS(Clear To Send)
端末側が送信を開始するときに出力する
信号線で、PC側に受信準備を要請します。
端末側のフロー制御に使います。
DR(DataSet Ready)
DSR(Data Set Ready)
PCが端末がつながっていることを認識
するための信号線で、PC側は
これで端末の有無を判定します。
SG(Signal Ground) 信号グランドで各信号線のグランド基点
になります。
CD(Carrier Detect)
DCD(Data Carrier Detect)
PCが端末側のデータ送受信の準備が
できていることを知るための信号線。
本来は端末としてモデムが接続された時
モデムがキャリアを検出して通信が始
まったことをあらわす。
20 ER(Equipment Ready)
DTR(Data Terminal Ready)
PCがつながっていることを相手に認識
させるための信号線で、PC側から制御
します。
22 CI(Calling Indication)
RI(Ring Indication)
端末側から電話がかかってきたことを
通知するための信号線ですが、
最近は、これでPCの電源を制御するのに
使われています。


【接続の仕方】

パソコンと端末装置(PICなどのマイコン装置)をモデムを介さずに直結
する場合の接続の仕方には、簡易な方法から、確実にハンドシェイク
する仕方までいくつかあります。
いずれも上表のフロー制御をどう行うかで違いが出ています。

(1) 簡易な接続法(3線式)
  もっとも簡単な接続方法で、フロー制御はハードウェアでは行わず
  フロー制御が必要無いか、ソフトウェアのプロトコルつまりXON/XOFF
  で行います。
    

(2) ヌル・モデム接続
  DTR信号が相手のDSRと接続されているので、相手が接続されているか
  どうかを判定することができます。しかしフロー制御については(1)と
  同じようにRTSとCTSを自分のところで折り返しているので出来ません。
    
(3) フル・ハンドシェイク接続
  RTSとCTSを互いに接続してハードウェアによるフロー制御を可能として
  います。また、DTRとDSRも互いに接続されていますので、互いの状態を
  監視することも出来ます。
   

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