USB接続周波数特性測定器(ハードウェア)


【概要と性能仕様】

 USB2.0対応の28ピンPICであるPIC18F2550を使って、やや本格的な周波数特性測定器
を製作しました。これで10Hzから10MHzの帯域の周波数特性を正弦波で測定し、パソコン側
でグラフで表示します。

また、単純な任意の周波数の正弦波出力もできますから、信号源としても使うことができます。
オーディオ用の信号源にもなりますし、30MHz程度までの短波帯の信号源としても便利に使え
ます。

外観は写真のようになっていて、USBパワーのみとしましたので、簡素な構成でできました。
ケースには市販でなかなか見栄えの良いものを見つけましたので使ってみました。

操作部は前面パネルだけです。
右側のジャックから正弦波を出力し、
左側の2個のジャックで入力して、デシベルで
測定します。
制御はUSB経由パソコン側で行います。


【機能仕様】

 この周波数特性測定器の仕様は下記のようになっています。

 機能と仕様
 (1) 周波数特性測定
   パソコンからリモート制御して、指定された周波数範囲を指定分解能で出力し、
   被測定装置の出力レベルを計測して対数グラフで表示する。
   
   測定周波数範囲  :10Hz 〜 10MHz を1Hz単位で指定可能
   測定周波数分解能 :1ディケードを何分割で測定するかを指定(最低1Hz単位)
   測定チャンネル数 :2チャンネル
   測定信号レベル  :-50dB 〜 20dB 分解能 512レベル

 (2) 手動周波数出力とレベル測定
   パソコンからの設定により設定周波数を出力
   またパソコン側からの指定によりレベル測定し表示する

   設定周波数範囲  :1Hz 〜 30MHz 1Hz単位で設定可能
   出力レベル    : 約-45dB 〜 5dB ボリュームにより可変
   測定チャンネル数 :2チャンネル
   測定信号レベル  :-50dB 〜 20dB 分解能 512レベル

【全体構成】

 この周波数特性測定器の全体構成は下図のようになっています。
まず全体のコントロールはPIC18F25501個ですべて行います。これでUSBでパソコン
と接続し、パソコン側からのコマンドで動作します。




正弦波の出力側には、アナログデバイス社のDDSシンセサイザであるAD9851を使いました
ので、かなりきれいな正弦波を出力できます。
AD9851のクロックには24MHzの発振器を使いましたので、内部動作は144MHzとなります。
従って、140kHz程度までは10ビット分解能の正弦波となりますから歪が非常に少ない正弦波と
なります。AD9851の使い方の詳細は下記ページを参照。

  ★ AD9851の使い方

AD9851自身では最高約30MHz程度まで正弦波で出力できます。そこでこのAD9851の出力も
直接外部に取り出せるようにしました。
測定用の出力はオペアンプで増幅してから、中心電圧が0Vの交流レベルで出力しています。
このためオペアンプ用にマイナス電源が必要となるため、DC/DCコンバータで+5Vから−5V
を生成しています。

デシベル測定用の入力には、ログアンプのAD8307を使っています。これで交流のレベルを
対数レベルで測定し直流に変換してくれますから、この出力を直接PICのA/Dコンバータ
で取り込んでいます。
2チャネルのレベルを合わせるため、オフセット調整用の可変抵抗を付加しています。

【回路】

 上記の構成を回路図にしたのが下図となります。






【組み立て外観】

組み立ては基板が表面実装部品が多いので注意が必要ですが、ケースへの実装は
大部分の部品を基板実装としましたので簡単な配線だけで済みます。


パネルの背面です
ケースは、タカチのMX4-13-15GSというものです。

左から USBコネクタ、ICSP用コネクタ、
AD9851直接出力(30MHz程度まで出力可能)
USBパワーだけなので、電源入力はありません。


内部接続、すべてプリント基板内に実装しましたので
パネル内部の配線はほんのわずかです。
電源も不要なので内部スペースには余裕があります。


基板部品面、PICが中心で右上側が正弦波出力関連
下側が、デシベル測定入力関連です。


はんだ面側です。アナログ部は大部分がフラットパッケージ
ですので多くの部品がこちら側にあります。
コンデンサは多くをチップタイプのセラミックコンデンサを
使いました。
フラットパッケージのはんだ付けについては下記を参照下さい。

 ★★★ 表面実装テクニック


Eagleで作成したこの基板パターン図をPDFファイルで提供します。下記を直接印刷して
お使い下さい。

★★★ パターン図ダウンロード

★★★ 基板実装図のダウンロード


上側の2個のICがログアンプでアナログデバイスのAD8307の
フラットパッケージタイプを使いました。
下側がAD9851のDDS用ICです。
ログアンプへのノイズの影響を考慮して、オペアンプの電源の
取り出し方を変更したためジャンパ線が1本あります。





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