【開発環境として必要なもの】
下の図が開発に必要な最低限の道具です。 PICは開発環境として必要なものが
少なく、しかも簡単に安く揃えられるのでアマチュア工作には最適です。
環境はPICシリーズのほとんどに共通です。
以下順に必要なものを説明していきます。
(1) プログラム開発用ハードウェア
(a) パソコン
PC98またはIBM互換機いずれでも良い。プログラム作成とデバッグ、
プログラムのPICへの書き込みに使う。
MS−DOSベースでの開発の時には性能は対して要求しませんが
Windowsベースでの開発の時には、”Windows95”が動作するパソコン
を前提にします。
Windows環境の方が何といっても便利ですのでそちらが中心です。
(b) PICライタと電源
パソコンとつないでプログラムをPICに直接書き込む道具です。市販品
と自作したものといずれでも良い。電源はACアダプタでも良いが安定化
電源の方がベター。
(c)ターゲットマシン
実際に動作させるハードウェア、これを製作するのが目的
(2) プログラム開発用ソフトウェア
(a) MPLAB
プログラムを開発するための統合開発環境ツールで、プログラムの作成
編集、アセンブル、シミュレーションデバッグと、ひとつでみんな出来て
しまう優れものです。
これがWindowsの環境で動作するので、パソコンはWindowsが動作する
ものを前提としています。
しかし、MS-DOSしかない方も安心して下さい。このMPLABの中には
DOS版のアセンブラも含まれています。(b) PICライタプログラム
パソコン上で使うもので、MPLABで開発したプログラムそのものを、PIC
の内蔵プログラムメモリに転送し書き込むためのソフトウェアです。
市販品のPICライタには添付されていますが、自作のPICライタ用は、
Nifty Serveやインターネットでフリーソフトとして公開されているものを
使用します。(Windows版とDOS版のいずれもあります)
【プログラム開発手順】
PICを使った自作のハードウェアを動かすまでの手順を説明します。
(1) 自作ハードウェアを製作する
PICハードウェアのページで実際の製作の仕方を説明しています。
とりあえずPICを早く試したいということで、このページの例題を題材として
説明します。
製作する回路は、単順にLED(発光ダイオード)を一定間隔で点灯/消灯
するものです。
(2) プログラムを書く
PICソフトウェアのページで、基本的なプログラムの作り方の説明をして
います。
まずは全体のフローチャートを描いてみて全体の流れをつかむが早道です。
その後で、MPLABのエディタを使ってプログラムを作成します。
(3) アセンブルする
MPLABのエディタを使ってアセンブラ言語で書いたプログラムをアセンブル
します。
MPLABのアセンブラを起動すると設定画面が現れるので、CPUの種類と、
CASE Sensitive(大文字小文字の区別のこと)をオフ、出力フォーマットを
INHX8M(インテルヘキサフォーマットのことです)に設定します。
そしてアセンブル結果が”error 0”になるまで繰り返します。
この error が出る間はリストに何か間違いがあるということです。根気良く
つぶしましょう。
errorが無くなると自動的にオブジェクトファイル(*.hex)が生成されます。
このオブジェクトファイルがPICに書き込むためのプログラムそのものです。
(4) シミュレーションする
アセンブルが”error 0”になったら次はパソコン上でシミュレーションしながら
実際に実行してみます。
このシミュレーションには、MPLABを使います。
(DOSの場合には、MPSIMというプログラムを使いますが、IBM互換機が
必要で、NEC98では動作しません。)
このシミュレーションには結構「コツ」が必要でプログラムを作るより難しく
感じるかも知れません。しかし、実機に実装して動かない時は、手探りに
なりますから、このシミュレータで走らせて確認した方が早く動かない原因を
発見することが出来ます。
(5) PICに書き込む(自作PICライタの場合)
PICライタの作り方と使い方は、PIC用ライタの作り方のページで説明して
います。
パソコンのプリンタコネクタと上記自作PICライタを接続してから、PICライタ
の電源を接続後、PICチップをセットして電源を入れます。
そして書き込みたいプログラムを確認後、プログラムデータを書き込みます。
(6)ターゲットハードウェアにセットし実行
PICのチップをPICライタの電源をOFFにしてから取り外し、ターゲット
ハードウェア(自作品)にセットし、セットの電源をONとします。
予定どおりに動作すればこれで完成です。
(7)動かないとき
ターゲットの電源をオフし、PICを一旦はずしたあと、MPLABで出力した
アセンブルリストを見ながら原因を考えます。
このときシミュレータが役に立ちます。
原因が分からないときは、どこまで動いているかを確認しながらチェックする
ため、リストを少し修正し、動きがはっきり分かるようにしてみます。
そして(3)のアセンブルからやり直します。
これらの一連の操作を全てMPLABの環境、つまりパソコンだけで出来るので
非常に便利にプログラム開発を行うことが出来ます。